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相続放棄と遺産放棄は全く別のものです
Kさんは、ご両親を相次いでなくし、ご両親が持っていた不動産を含めた財産は自分がすべて相続する、という話し合いを兄弟2人との間で行いました。まず銀行口座の相続手続きをしようと銀行に行くと、窓口で「相続人の方全員に実印と印鑑証明書をもらってきてください」と言われました。
とりあえず言われるがままに書類を集め、一つ目の銀行の手続きは終わりました。
しかし・・・。
相続放棄をしてもらう事で、銀行や証券口座の名義変更が楽に…
ご両親はそこそこの数の銀行預金や証券類を持たれており、その数は数十口にものぼります。
これらすべての名義変更のためには、いちいち兄弟にサインや印鑑証明書を預からなければなりません。
Kさんがこのことをお知り合いであるFさんに話されたそうです。
すると、Fさんは、『どうせKさんがすべてを相続するのだから、ほかの二人には相続放棄をしてもらえばいいんじゃないか。そうすれば、裁判所からもらった書類を見せるだけで、Kさんだけで手続きができる。自分は昔そうしたことがある』とアドバイスをくれました。
それを聞いたKさんはさっそく、兄弟二人に言って相続放棄の手続きをしてもらいました。確かに、銀行や証券口座の名義変更は楽でした。
しかし・・・「さあ、それでは最後に不動産の名義変更を」というところで、問題が浮かび上がってきました。
実は、弟さんの住んでいるマイホームの名義が、一部父親名義になっていたのです。
マイホームを購入する際、父親が資金を融通してくれたため、共有名義にしていたものです。
弟さんとしては、住宅資金を父親がいくらか出してくれた、という思いがあったからこそ、ほかの財産は兄に、と思っていたのですが、不動産に父親の名義が入っていることは失念していたのです。
悲劇を起こさない為に、専門科に相談しよう
まず、勘違いされている方が多いのですが、「相続放棄」と、「遺産放棄」、もしくは単なる「放棄」は、まったく別のものです。
「相続放棄」というのは立派な法律用語で、家庭裁判所に申述をすることによって強制的な法律的効力が生じます。
「相続放棄」をした相続人は、「はじめから相続人でなかった」ことになってしまいます。相続人としての地位を失うということです。
これに対し、「遺産放棄」というのは、個々の財産に対して、これについては権利を放棄する、というもので、相続人としての地位まで失うものではありません。
一般的には「遺産分割協議書」というものを作成し、その中で財産についての放棄の意思を明らかにします。しかし、この「遺産分割協議書」のなかに記載のない財産がある場合には、この新たな財産については依然、相続人としての権利を持ちうるのです。
Kさんのケースの場合、全体の財産調査をきちんとせず、「手続きが簡便になる」という便宜上の都合だけで安易に相続放棄手続きをしてしまいました。
結果、弟さんのマイホームの父親の持分については、いったんKさんが取得し、そのうえで弟さんに
「贈与」するという形を取らざるを得ませんでした。
そうです。
弟さんは相続放棄によってもはや相続人ではなくなっているため、税務上相続と同様に扱われることの多い「遺産分割」はできないのです。
贈与となると、当然贈与税がかかってきてしまいます。
兄弟間では、贈与税を免れる・または減らすことのできるような減税制度もありません。対象が不動産であるだけに、贈与税もかなりの額に上ってしまいます。
事例のお知り合いのFさんというのは、すこしだけ法律をかじったことがある方だったそうです。
しかし、法律というのは、ちょっとした知識から安易なことをしてしまうと、取り返しのつかないことになりかねません。
このような事態は、専門家に相談していれば必ず防ぐことができたものです。
では、いったいどうすればよいのでしょうか?
その答えは、おひとりおひとりのご事情によってまったく異なるものになります。
無料相談にて、すこしでもこのような悲劇がなくなってくれるよう願っています。