遺言書作成は司法書士に依頼できる?費用相場・業務範囲・メリットを解説

「自分が亡くなったあと、家族が揉めないように遺言書を残したい」と考えていても、何から始めればよいのか分からず、作成に踏み切れない方もいるでしょう。

書き方を誤って遺言書が無効になったり財産の記載が漏れたりすれば、家族を思って残した意思が十分に反映されないおそれがあります。

司法書士には、相続人や財産の調査、遺言内容の整理、必要書類の収集などを依頼できます。

しかし、どこまで任せられるのか、費用はいくらかかるのか分からない方も少なくありません。

本記事では遺言書作成について司法書士へ依頼できる業務範囲や費用相場、メリット・デメリット、選び方を解説します。

司法書士へ依頼するか迷っている方は、遺言書の作成方法を決める際にお役立てください。

目次

遺言書の作成は司法書士に依頼できる

司法書士には、自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらについても作成支援を依頼できます。

自筆証書遺言は、遺言者本人が原則として本文を手書きする遺言書です。

一方、公正証書遺言は、本人の意思を確認した公証人が作成します。

司法書士が本人に代わって遺言書そのものを完成させるわけではありませんが、相続人や財産の調査、遺言内容の整理、必要書類の収集などを任せられます。

公正証書遺言を作成する場合は、公証人との調整も依頼可能です。

とくに自筆証書遺言は、形式に不備があると、希望した財産の分け方が実現しないおそれがあります。

遺言書の種類が決まっていない方も、誰にどの財産を残したいかを司法書士へ伝え、希望に合う方式と必要な準備を確認したうえで作成を進めるとよいでしょう。

参考:日本司法書士会連合会「財産を遺したい人に知ってほしいこと」

司法書士へ依頼できる遺言書作成の業務範囲

司法書士には、自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらについても、作成に必要な支援を依頼できます。

以下では、司法書士が対応できる業務の範囲を詳しく解説します。

相続人や財産の調査と必要書類の収集を依頼できる

司法書士には、遺言書の作成に必要な推定相続人や財産の調査、書類の収集を依頼できます。

遺言内容を決めるには、作成時点の推定相続人と所有している財産を正確に把握しなければなりません。

たとえば、戸籍をたどって前婚の子を含む親族関係を確認するほか、登記事項証明書から自宅の所在や地番を調べてもらうことが可能です。

調査が不十分なまま遺言書を作成すると、一部の財産が記載から漏れ、相続開始後に遺産分割協議が必要になるおそれがあります。

推定相続人や所有する不動産が分からない場合も、司法書士へ任せれば、調査から必要資料の収集まで順に準備を進められるでしょう。

遺言内容の整理や文案作成の支援を受けられる

司法書士には、遺言内容の整理や文案作成の支援を依頼できます。

誰に何を残したいか決まっていても、財産や受取人を特定できる表現へ自分で整えるのは簡単ではありません。

たとえば「長男に自宅を残したい」と伝えると、登記事項証明書をもとに不動産の所在や地番などを確認し、対象を特定できる文案へ整えてもらえます。

ただし、司法書士が本人に代わって遺言書を作るわけではありません。

自筆証書遺言の場合は遺言者本人が書き、公正証書遺言は公証人が作成します。

なお、内容が固まっていない段階でも、現在の希望をもとに、遺言書へ記載する項目を整理するところまでの依頼も可能です。

公正証書遺言に必要な書類の準備や公証人との調整を依頼できる

公正証書遺言を作成する場合は、必要書類の準備や公証人との事前調整を司法書士へ依頼できます。

手続きには、戸籍謄本や印鑑登録証明書、財産に関する資料などが必要です。

書類の不足や公証人との事前調整に不備があると、予定していた日に作成できないおそれがあります。

司法書士に依頼すれば、必要書類を案内してもらうほか、公証役場への遺言書案の提出や公証人との連絡、作成日の調整などを任せられます。

遺言者本人による意思確認を必要としますが、それ以前の準備をすべて司法書士に任せることで、公正証書遺言の作成を予定どおり進めやすくなるでしょう。

遺言書作成を司法書士に頼む費用相場

遺言書作成を司法書士に頼む場合、自筆証書遺言は3万〜7万円程度、公正証書遺言は5万〜15万円程度が費用相場です。

ただし、司法書士事務所の料金体系や、書類収集・財産調査などを依頼するかによって金額は変わります。

公正証書遺言では、公証人手数料や証人の日当なども発生するため、司法書士報酬だけでは総額を判断できません。

依頼する際は、基本料金に含まれる業務と追加費用を確認し、支払総額が分かる見積もりを出してもらいましょう。

自筆証書遺言の作成支援にかかる司法書士費用

自筆証書遺言の作成支援を司法書士へ頼む場合、費用相場は3万〜7万円程度です。

遺言内容の整理や文案作成のみを頼む場合と、戸籍謄本の収集や財産調査まで任せる場合では、支払う金額が異なります。

法務局の自筆証書遺言書保管制度に関する支援は基本料金に含まれず、別途費用がかかることもあるでしょう。

表示料金が同じでも、各事務所で対応してもらえる業務が一致するとは限りません。

複数の事務所を比較する際は、基本料金に含まれる業務と追加料金がかかる条件まで確かめてください。

公正証書遺言の作成支援にかかる司法書士費用

公正証書遺言の作成支援を司法書士へ依頼する場合、報酬相場は5万〜15万円程度です。

公証人との事前調整や必要書類の準備などを任せるため、自筆証書遺言より司法書士報酬が高くなる傾向にあります。

財産や相続人が多く、調査に時間を要するケースでは追加報酬が発生することもあるでしょう。

さらに、司法書士費用とは別に、公証人手数料令に基づく手数料がかかります。

証人を司法書士事務所などへ手配してもらう場合は、原則として2人分の費用も必要です。

提示された報酬額だけで判断せず、公正証書遺言が完成するまでの総額も見積もってもらってください。

司法書士報酬以外にかかる費用

遺言書を作成する際は、司法書士報酬に加えて、書類の取得費や公証人手数料なども必要です。

費用項目 料金の目安
戸籍謄本の取得費 1通450円
除籍謄本・改製原戸籍謄本の取得費 1通750円
登記事項証明書の取得費 窓口で書面請求:1通600円
オンライン請求窓口受取:1通490円
郵送受取:1通520円
法務局における遺言書の保管申請手数料 遺言書1通につき3,900円
公証人手数料 財産額や財産を受け取る人数などで異なる
証人を司法書士事務所などへ依頼する費用 1人5,000円~1万円程度
司法書士事務所などの保管料 事務所によって異なる
司法書士を遺言執行者に指定した場合の報酬 契約内容や遺産額などによって異なる

公証人手数料は、2025年10月1日に改定されました。

改定後も、公正証書遺言の手数料は、財産を受け取る人ごとに取得する財産の価額を基準として計算されます。

そのため、遺産総額だけを確認しても、正確な金額は分かりません。

公証人に病院や自宅へ出張してもらう場合は、加算手数料のほか、日当や交通費も発生します。

なお、遺言執行者の報酬は作成時ではなく、相続開始後に支払うのが一般的です。

想定外の支出を防ぐためにも、作成時の費用と相続開始後に発生する費用を分けて把握しておきましょう。

参考:法務省資料「不動産登記制度の見直し」

日本公証人連合会「公証人手数料令の改正について」

法務省「自筆証書遺言書保管制度の手数料」

遺言書作成を司法書士に依頼する5つのメリット

司法書士へ遺言書の作成支援を依頼する主なメリットは、次の5つです。

  • 形式不備によって遺言書が無効になるリスクを抑えられる
  • 希望する財産の分け方を遺言書へ反映しやすい
  • 相続人や財産の調査漏れを防ぎやすい
  • 遺言書の作成支援から相続発生後の登記まで相談できる
  • 司法書士を遺言執行者に指定できる

形式や内容を確認しながら作成できるほか、相続発生後の手続きまで見据えて準備できる点が司法書士へ依頼する利点です。

ここからは、それぞれのメリットを詳しく解説します。

形式不備によって遺言書が無効になるリスクを抑えられる

司法書士の支援を受けると、法律で定められた形式を確認しながら準備できるため、遺言書が無効になるリスクを抑えられます。

自筆証書遺言には、全文や日付、氏名の記載、押印など、守らなければならない要件があるためです。

加除や訂正にも決められた方法があり、本人が正しく書いたつもりでも、形式上の不備が残っているかもしれません。

作成途中や完成前に司法書士へ相談すれば、記載漏れや訂正方法を確認しながら見直すことが可能です。

形式の誤りによって遺言書が無効となり、希望した財産の分け方を実現できなくなる事態を避けやすいでしょう。

希望する財産の分け方を遺言書へ反映しやすい

司法書士へ相談すると、希望する財産の分け方を整理し、遺言書の内容として具体化しやすくなります。

財産の特定や記載方法が不十分では、遺言者の意図が相続人へ正確に伝わりません。

たとえば「自宅は配偶者に、預貯金は子どもに残したい」と考えていても、対象となる不動産や口座が曖昧では、誰が何を受け取るのか判断できないおそれがあります。

司法書士から法定相続分や遺留分について説明を受ければ、家族への影響にも配慮した分け方を検討できるでしょう。

財産と受取人を具体的に記載することで、遺言内容をめぐる相続人同士の認識の食い違いも防ぎやすくなります。

相続人や財産の調査漏れを防ぎやすい

司法書士へ依頼すると、推定相続人や所有財産の調査、必要書類の収集を支援してもらえるため、調査漏れを防ぎやすくなります。

自分だけで調べる場合、戸籍から推定相続人の範囲を正確に確認したり、所有する不動産をすべて把握したりするのは簡単ではありません。

調査が不十分なまま遺言書を作成すれば、記載から漏れた財産について、相続開始後に遺産分割協議が必要になるおそれもあるでしょう。

戸籍や財産に関する資料の収集から記載内容の確認まで支援してもらうことで、残された家族に余分な調査や話し合いを残すリスクを減らせます。

遺言書の作成支援から相続発生後の登記まで相談できる

司法書士には遺言書の作成支援に加えて、相続発生後の不動産登記まで相談できます。

自宅や土地を相続させる旨を遺言書に記載しても、不動産の名義が自動的に変わるわけではありません。

相続発生後には、遺言内容に基づいて所有権の移転登記を申請する必要があります。

作成段階から相談しておけば、不動産の登記情報や権利関係を確認したうえで遺言書の内容を検討できるでしょう。

相続後の登記まで対応できる事務所を選ぶことで、家族が手続きの方法や新たな相談先を一から調べる負担も軽くなります。

司法書士を遺言執行者に指定できる

司法書士を遺言執行者に指定しておくと、相続発生後に遺言内容を実現するための手続きを任せられます。

遺言執行者は、相続人への通知や財産目録の作成、遺言内容に応じた預貯金の解約などを進める役割を担うためです。

相続人の一人を指定することも可能ですが、不慣れな手続きやほかの相続人との連絡まで任せると、時間的・精神的に大きな負担がかかるでしょう。

作成段階から司法書士へ相談しておけば、遺言の内容や財産状況を共有したうえで就任の意向や報酬を確認できます。

手続きに慣れた司法書士を指定することで、家族だけで遺言執行を進める負担を残さずに済みます。

遺言書作成を司法書士に依頼する4つのデメリット

遺言書作成を司法書士へ依頼する場合は、次のようなデメリットもあります。

  • 司法書士へ依頼しても遺言書が必ず有効になるとは限らない
  • 依頼する業務が増えるほど司法書士費用も高くなる
  • 遺言書の保管や遺言執行まで対応してもらえるとは限らない
  • 相続人同士で争いがある場合は司法書士だけでは解決できない

司法書士へ依頼すれば形式や内容に関する不安を減らせますが、遺言書の効力が保証されるわけではなく、対応できる業務にも限界があります。

依頼後に「希望していた対応を任せられなかった」と後悔しないよう、費用と対応範囲を契約前に把握しておきましょう。

司法書士へ依頼しても遺言書が必ず有効になるとは限らない

司法書士の支援を受けても、遺言書が必ず有効になるとは限りません。

形式や記載内容を確認してもらえば不備を減らせますが、作成時に本人が内容を理解していたか、本人の意思で書いたかまで保証できないためです。

認知症などで遺言能力がなかった、家族から強要されて書いたと主張されれば、相続発生後に遺言書の有効性を争われるおそれがあります。

また、遺留分を侵害する内容は直ちに無効になるわけではないものの、相続人から金銭を請求される可能性もあるでしょう。

司法書士への依頼は不備や争いを防ぎやすくする方法であり、どのような遺言書でも効力を保証するものではありません。

依頼する業務が増えるほど司法書士費用も高くなる

遺言書の作成を司法書士へ任せる範囲が広いほど、支払う費用も高くなります。

文案作成に加えて、戸籍の収集や財産調査、公正証書遺言の作成支援まで依頼すると、追加料金や書類の取得費用がかかるためです。

司法書士を遺言執行者に指定した場合は、相続発生後に遺言執行の報酬が別途必要になります。

基本料金だけを見て依頼先を決めると、必要な支援を追加した結果、予算を超えてしまうかもしれません。

無理なく依頼できる事務所を選ぶためにも、希望する業務を伝え、最終的にいくらかかるのかを契約前に確認しておきましょう。

遺言書の保管や遺言執行まで対応してもらえるとは限らない

司法書士へ遺言書の作成を依頼しても、保管や相続発生後の遺言執行まで任せられるとは限りません。

事務所によって対応業務が異なり、文案の作成や必要書類の収集だけで契約が終了する場合もあります。

保管や遺言執行に対応していなければ、自分で保管方法を決めたり、別の人へ遺言執行者への就任を依頼したりしなければなりません。

対応範囲を確認せずに契約すると、相続発生後の手続きを家族だけで進める事態になりかねないでしょう。

家族に負担を残したくない人は、保管の可否や遺言執行者への就任、必要な報酬まで契約前に確かめてください。

相続人同士で争いがある場合は司法書士だけでは解決できない

家族関係がすでに悪化しており、相続発生後の争いが予想される場合は、司法書士だけですべての対応を進めることは不可能です。

司法書士には相続登記や裁判所へ提出する書類の作成を依頼できますが、一方の代理人として相手方と交渉したり、遺産分割調停へ出席したりする役割は弁護士が担います。

相続発生後に遺言書の有効性を争われたり、遺留分侵害額を請求されたりすれば、改めて弁護士への依頼が必要になるでしょう。

途中で相談先を変えると、事情を説明し直す手間がかかるうえ、費用の負担も増えかねません。

遺言内容に反対する家族がいるなど、将来の争いが懸念される場合は、遺言書の作成段階から弁護士にも相談するのが適切です。

遺言書作成を依頼する司法書士の選び方

遺言書の作成支援を依頼する際は、遺言・相続の実績や対応業務、費用などを比較して司法書士を選びましょう。

遺言書作成に対応していても、事務所によって得意分野や支援内容が異なります。

費用の安さだけで決めると、希望する支援を受けられず、保管や遺言執行を別の専門家へ依頼する手間が生じかねません。

相談先選びで後悔しないよう、契約前に確認したい5つのポイントを解説します。

遺言・相続の対応実績が豊富か

遺言書の作成支援を依頼するなら、遺言や相続の対応実績が豊富な司法書士を選びましょう。

遺言書に盛り込む内容や必要な手続きは、家族構成や財産の種類、誰に何を残したいかによって変わります。

経験が少ない司法書士へ依頼すると、遺留分への配慮や相続税、不動産の名義変更など、遺言者が亡くなったあとに生じる問題を十分に検討できないおそれがあります。

公式サイトで遺言書作成の相談件数や対応事例、相続分野の取扱業務を確認してください。

初回相談で自分と似た家族構成や財産状況への対応経験を聞いておくと、具体的な提案が期待できる司法書士か判断しやすくなります。

希望する遺言書の作成支援に対応しているか

希望する遺言書の種類や、任せたい手続きに対応している司法書士を選びましょう。

事務所によって、自筆証書遺言の文案作成、公正証書遺言に必要な書類の収集、証人の手配など、依頼できる業務が異なるためです。

作成後の保管や遺言執行者への就任まで希望していても、対応外であれば別の依頼先を探さなければなりません。

任せたい業務を相談前に整理し、契約前までに対応範囲を確認すれば、必要な支援を受けられず依頼先を探しなおす事態を防げます。

費用の内訳や総額が明確か

依頼先を選ぶ際は、料金表だけでなく、支払総額の目安を分かりやすく示してくれる司法書士を選びましょう。

公式サイトに記載された基本料金だけでは、戸籍の取得費用や公証人手数料、証人への日当などが含まれているか判断できません。

財産の種類や依頼内容によって追加料金が発生し、当初の予算を超えるケースもあるでしょう。

契約前に見積もりを受け取り、基本料金に含まれる業務、実費、追加料金の発生条件を確認する必要があります。

同じ支援内容で複数の事務所を比較すれば、、費用と対応範囲のバランスを見ながら依頼先を選べます。

弁護士や税理士との連携体制が整っているか

家族間の対立や相続税への対応が必要になりそうなら、弁護士や税理士と連携している司法書士を選びましょう。

司法書士は遺言書の作成を支援できますが、相続争いにおける代理交渉や相続税の申告までは任せられません。

遺言内容をめぐる争いが予想される場合は弁護士、相続税がかかる可能性があれば税理士の支援も必要です。

他士業との連携体制がなければ、問題が判明してから自分で新たな相談先を探すことになります。

初回相談で他士業へ引き継ぐ条件や相談後の流れを確かめておけば、弁護士や税理士が必要になったときも対応が滞りにくくなります。

説明が分かりやすく丁寧に対応してもらえるか

相談者の希望を丁寧に聞き取り、専門用語をかみ砕いて説明してくれる司法書士を選びましょう。

遺言書の内容は、財産の分け方だけでなく、家族関係や財産を残したいかによっても変わるためです。

十分な聞き取りがないまま作成が進むと、希望と異なる文案になったり、法的な効果や注意点を理解できないまま内容を決めたりしかねません。

初回相談では、質問に具体的に答えてもらえるか、複数の選択肢とそれぞれの注意点を説明してもらえるかを確かめてください。

相談時の話しやすさや説明の分かりやすさを見極めれば、自分の意思を正確に汲み取ってくれる司法書士を選べます。

司法書士へ遺言書作成を依頼する流れ

司法書士へ遺言書作成を依頼する場合は、初回相談で希望を伝え、自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらにするか検討します。

正式に依頼したあとは、相続人や財産を調べて必要書類をそろえ、司法書士の助言を受けながら内容を固める流れです。

相談から遺言書の作成・保管まで、7つの手順に分けて解説します。

1.司法書士との初回相談で遺言内容の希望を伝える

まずは司法書士へ相談し、遺言書を作る目的や希望する内容を伝えます。

初回相談をスムーズにするため、事前に次の項目を整理しておきましょう。

  • 遺言書を作成したい理由
  • 誰にどの財産を残したいか
  • 家族構成や相続人同士の関係
  • 預貯金や不動産などの財産内容
  • 相続人以外へ財産を渡す希望があるか

すべての財産や相続人を正確に把握できていなくても、初回相談は可能です。

現時点で分かる情報をメモして持参すれば、追加で調べる内容や必要書類について司法書士から案内を受けられます。

2.自筆証書遺言か公正証書遺言かを選ぶ

希望する内容を伝えたら、自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらを作成するか検討します。

自筆証書遺言は費用を抑えやすい一方、原則として本文・日付・氏名を本人が手書きしなければなりません。

公正証書遺言は、公証人手数料や証人2名の用意が必要ですが、公証人が作成するため、方式の不備によって無効になるリスクを抑えられます。

司法書士から費用や保管方法、作成手続の違いについて説明を受け、希望や財産状況に合う方式を選びましょう。

3.見積もりと支援内容を確認して正式に依頼する

遺言書の方式を決めたら、見積もりと支援内容を確認したうえで司法書士へ正式に依頼します。

見積書では、文案の作成支援や必要書類の収集、公証役場との調整など、基本料金に含まれる業務を確認してください。

公証人手数料、証人の手当費用、戸籍謄本などの取得費が別途必要になる場合もあります。

追加料金が発生する条件や完成までの見込み期間にも納得できたら、契約を結ぶ段階です。

不明な費用や対応範囲を依頼前に尋ねておけば、契約後の追加負担や認識のずれを防げます。

4.相続人と財産を調査して必要書類を集める

正式に依頼したあとは、相続人や財産を調べ、遺言書作成に必要な書類を集めます。

主に準備する書類は次のとおりです。

  • 戸籍謄本
  • 住民票
  • 不動産の登記事項証明書
  • 固定資産評価証明書
  • 預貯金通帳の写し
  • 株式や保険などの財産が分かる資料

実際に準備する書類は、遺言書の方式や財産を渡す相手によって異なります。

戸籍謄本や登記事項証明書などは司法書士に取得を任せられることもあるため、本人が用意する書類を確認してから準備を始めましょう。

5.司法書士の支援を受けながら遺言書案を固める

必要書類がそろったら、司法書士の支援を受けながら遺言書の内容を固めます。

この段階で受けられる主な支援は次のとおりです。

  • 誰にどの財産を残すか希望を整理する
  • 法律で定められた形式に沿って文案を整える
  • 財産や相続人の記載内容を確認する
  • 遺言執行者を指定するか検討する
  • 付言事項の書き方について助言を受ける

提示された文案を読み、希望と異なる部分や理解できない表現があれば、司法書士へ相談しながら調整します。

財産を残す相手や割合、氏名、不動産・預貯金の表示などを確認し、本人が内容に納得した段階で最終案を決定します。

6.選択した方式に沿って遺言書を完成させる

最終案が決まったら、自筆証書遺言または公正証書遺言の方式に沿って遺言書を完成させます。

自筆証書遺言は、遺言者本人が本文・日付・氏名を手書きし、押印しなければなりません。

パソコンで作成した財産目録や通帳の写しなどを添付する場合は、各ページに署名・押印が必要です。

公正証書遺言では、証人2名の立ち会いのもとで遺言者が内容を口頭で伝え、公証人が本人の意思を確認して遺言書を作成します。

内容に間違いがなければ、遺言者と証人2名が電子サインを行い、公証人の電子サインと電子署名を経て完成する流れです。

2025年10月1日以降は原則として電磁的記録で作成され、本人確認や意思確認に支障がないと公証人が判断した場合は、ウェブ会議も利用できます。

参考:法務省「公正証書に係る一連の手続のデジタル化について」

7.遺言書の方式に応じた方法で保管する

遺言書が完成したら、紛失や改ざんを防ぎ、相続開始後に発見してもらえる方法で保管します。

自筆証書遺言は自宅でも保管できますが、紛失したり家族に見つけてもらえなかったりするおそれがあります。

法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用すれば原本を預けられ、遺言者が亡くなったあとの家庭裁判所による検認も必要ありません。

公正証書遺言の原本は公証人側で保存され、遺言者には正本や謄本が交付されます。

自宅で管理する遺言書や交付書類の保管場所は、信頼できる家族や遺言執行者へ伝えておきましょう。

遺言書の存在を共有しておけば、死亡後の相続手続きを進めやすくなります。

遺言書作成を相談できるおすすめ司法書士事務所3選

遺言書作成を相談できるおすすめの司法書士事務所を3つ紹介します。

対応する遺言書の種類や支援内容、費用、相談方法などを比較し、自分が希望する支援を受けられる事務所を選びましょう。

1.グリーン行政書士法人・司法書士法人

対応する遺言書 自筆証書遺言・公正証書遺言
主な支援内容 作成サポート
遺言書の修正・見直し
遺言書保管
遺言執行
司法書士費用 相談料:無料
自筆証書遺言:66,000円~
公正証書遺言:75,900円~
遺言書保管:一括55,000円~・年払い3,300円~/年
相談方法 電話・対面・オンライン・LINE・出張(訪問)
受付時間 平日:9時〜20時 土日祝:9時〜18時
対応地域 全国

グリーン行政書士法人・司法書士法人は、遺言書の作成から相続発生後の手続きまで見据えた支援を受けられる事務所です。

相続に関する相談実績は累計5万5,193件にのぼります。

自筆証書遺言と公正証書遺言の両方に対応し、希望や財産状況に合った方式を相談できる点が特徴です。

作成支援の料金は、自筆証書遺言が6万6,000円から、公正証書遺言が7万5,900円から設定されています。

遺言書の作成だけでなく、将来の相続登記や家族信託まで含めて生前対策を検討したい方に適しています。

グリーン行政書士法人・司法書士法人に無料相談

グリーン行政書士法人・司法書士法人の口コミ

「相続手続きについて相談するか迷われている方へ:銀行や法務省(登記関係)のマニュアルはとても丁寧に書かれています。まず読んでみて難しいとか、多忙で無理と感じた場合には相談されたらいいと思います。
自分の場合、結果的に自力でやってしまいましたが、久津間様に初回相談した際にはセールスされるわけでもなく大変親切にアドバイスいただきました。ありがとうございました」

引用:Google口コミ

2.こん・さいとう司法書士事務所

対応する遺言書 自筆証書遺言・公正証書遺言
主な支援内容 作成サポート
遺言書の修正・見直し
遺言書保管
遺言執行
司法書士費用 相談料:初回無料(対面またはZOOM)
着手金:0円
【自筆証書遺言】
保管サポート:40,000円~
保管申請書のみの作成代理:5,000円
法務局への保管申請する際の同行:15,000円
自筆遺言書の内容チェック:30,000円【公正証書遺言】
作成サポート:40,000円~【遺言の検認】
遺言書の検認申立ておよび保管者としての裁判所への出頭:80,000円
相談方法 メール・電話
受付時間 平日9:00~18:00
対応地域 全国対応

こん・さいとう司法書士事務所は、東京・国分寺で20年以上にわたり相続手続きを専門とし、約3,000件の相談に対応してきました。

相談から手続きまで、事務員ではなく国家資格を持つ2名の司法書士が担当する点も特徴です。

公正証書遺言では文案作成や必要書類の収集、公証人との事前調整を依頼できるため、本人の負担を抑えられます。

自筆証書遺言書保管制度の利用支援に加え、相続開始後の検認申立てや遺言執行者の選任にも対応しています。

遺言書の作成前から相続発生後まで、同じ事務所へ継続して手続きを任せたい方に向いています。

こん・さいとう司法書士事務所に無料相談

こん・さいとう司法書士事務所の口コミ

「遺言書作成に関し、他の大手事務所で「イレギュラーなケースで、どうしたらいいか判らない。」と戸惑われた案件も、スッと答えて下さり、こちらに依頼させて頂くことにいたしました。とても頼りになる事務所です。」

引用:Google口コミ

3.司法書士法人はやみず総合事務所

対応する遺言書 自筆証書遺言・公正証書遺言
主な支援内容 必要書類の取り寄せ
遺言書の原案作成
公証役場との調整
証人への就任
司法書士費用 相談料:無料
自筆証書遺言:6万円~
公正証書遺言:10万円~(別途実費)
相談方法 電話・メール・出張
受付時間 平日10:00~17:00(土日祝対応可)
対応地域 全国対応

司法書士法人はやみず総合事務所は、池袋に事務所を構え、8,474件の相談実績を持つ司法書士事務所です。

遺言書の文案作成から必要書類の収集、公証役場との調整、証人としての立ち会いまでまとめて依頼できます。

弁護士や税理士、不動産会社などとのネットワークがあり、相続税や不動産の売却が関係するケースも一つの窓口で相談できる点が特徴です。

司法書士報酬は、自筆証書遺言が6万円、公正証書遺言が10万円からで、公証人手数料などの実費は別途かかります。

親族関係や財産状況が複雑で、遺言書の作成から遺言執行まで幅広く任せたい方は利用しやすいでしょう。

司法書士法人はやみず総合事務所に無料相談

司法書士法人はやみず総合事務所の口コミ

「この度はお世話になりました。疎遠になってしまった親族がいるとなかなか自分自身で事を進める事が難しく、また、わからない内容ばかりで途方にくれておりました。最初のお電話の時から最後まで、親切、丁寧にご対応いただきまして感謝しかありません。本当にどうもありがとうございました。」

引用:Google口コミ

遺言書と司法書士に関するよくある質問

遺言書の作成前から相続開始後まで、司法書士へ依頼できる手続きは複数あります。

ただし、遺言者本人による申請が必要な手続きや、家庭裁判所を通す必要がある手続きもあるため、すべてを任せられるわけではありません。

ここでは、遺言書と司法書士に関するよくある質問に回答します。

法務局への遺言書保管申請を司法書士へ任せられますか?

法務局への遺言書保管申請そのものは、司法書士へ任せられません。

法務省では、申請時に遺言者本人が遺言書保管所へ出向く必要があり、病気で出頭できない場合も制度を利用できないと案内しています。

そのため、司法書士による代理申請や郵送での手続きは認められていません。

ただし、保管申請書の作成や自筆証書遺言の作成支援は依頼できます。

不備が心配な方は必要書類や手続きの流れを確認してもらい、本人が法務局へ申請してください。

参考:法務省「自筆証書遺言書保管制度」

封印のある遺言書を司法書士に開封してもらえますか?

封印のある遺言書は、司法書士に開封してもらえません。

裁判所では、封印された遺言書は家庭裁判所に提出し、相続人などの立ち会いのもとで裁判官が開封すると案内しています。

遺言書を見つけた家族であっても、家庭裁判所以外で勝手に封を切ることは認められていません。

家庭裁判所以外で開封すると5万円以下の過料の対象となるため、中身を確認せず、そのままの状態で家庭裁判所へ検認を申し立ててください。

参考:裁判所「遺言書の検認」

e-Gov法令検索「民法第1005条(過料)」

遺言者に認知症の疑いがある場合でも作成できますか?

認知症の疑いがあっても、作成時に遺言能力があれば遺言書を作成できます。

民法第963条では、遺言者は遺言をする時点で遺言能力を有していなければならないと定めています。

認知症の診断だけで一律に作成できなくなるわけではなく、本人の判断能力や遺言の内容などを踏まえて判断されます。

遺言能力を疑われると、相続開始後に有効性をめぐる争いへ発展しかねません。

本人が意思を伝えられるうちに司法書士や公証役場へ相談し、必要に応じて医師の診断書や作成時の記録を残してください。

参考:e-Gov法令検索「民法第963条」

遺言書の検認にかかる司法書士費用はいくらですか?

遺言書の検認を司法書士へ依頼する場合、報酬は3万〜8万円程度が目安です。

検認申立書の作成や戸籍謄本の収集などを依頼できますが、料金に含まれる業務は事務所によって異なります。

相続人が多く、必要な戸籍が増える場合は追加料金がかかる場合もあります。

また、司法書士報酬とは別に、遺言書1通につき800円分の収入印紙と連絡用の郵便料、戸籍謄本の取得費用などが必要です。

依頼前に見積もりを取り、実費を含めた総額と追加料金がかかる条件を確認してください。

参考:裁判所「遺言書の検認」

遺言書作成に不安があるなら司法書士へ相談しよう

遺言書の内容や書き方に不安がある方は、自己判断で完成させる前に司法書士へ相談してみてください。

形式に不備があると遺言が無効になり、財産の記載漏れがあれば相続人同士のトラブルに発展するおそれがあります。

司法書士には、相続人や財産の調査、必要書類の収集、遺言書の文案作成などを依頼できます。

何から確認すればよいのか分からない段階でも、相談して問題ありません。

初回相談を無料で受け付けている事務所もあるため、費用や依頼範囲を確認したうえで、自分に合う司法書士を探してみましょう。