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特別の寄与をした者の具体的相続分について
~Question~
私は3人兄弟の長男で、長年にわたってほとんど無給で父の事業を手伝い、その甲斐あって店舗を増やすことが出来ました。その店舗はすべて父名義です。父の死後その遺産を調べると一億円あり、そのうち私の働きで増えた店舗の価値は4000万円でした。この場合、具体的に私はいくらの財産を相続することが出来るのでしょうか。なお、母はすでになくなっております。
~Answer~
●寄与分の額の計算方法
今回のご質問の場合、長年ほとんど無給でお父さんの事業を手伝われたというのであれば、寄与分が認められることになるでしょう。そして、特別の寄与をした相続人が具体的にどれだけ相続できるかを定めるに当たっては、まず寄与分の額を確定する必要があります。
この寄与分の額については、原則として共同相続人全員が話し合いでどの相続人にどの程度寄与があるかを協議し、協議がまとまらない場合は寄与をした者が家庭裁判所に寄与分を定める調停や審判を申し立てて決められることになります。この際、寄与分は寄与の時期、程度、方法、相続財産の額など、中でも特に『特別の寄与』によって維持又は増加された財産の額を基準にして寄与分の額が決められます。
もっとも寄与分について共同相続人の間で協議をする場合には、寄与分を定める協議を単独で行う必要はなく、遺産分割の協議の中でこれとあわせて協議してもかまいません。また、寄与分を定める協議が不調となった場合でも寄与分を定める調停を独立に申し立てる必要はなく、遺産分割の調停の手続きの中で事実上寄与分の主張をすれば足ります。そして、遺産分割の調停が不調となって審判手続きに移行すれば、その段階で寄与分を定める調停や審判の申し立てをすればよいでしょうが、遺産分割の調停をしている段階で寄与分の主張が遺産分割の大きなウェートを占め、当事者間でも寄与分につき厳しい対立がある場合、別途寄与分についても申し立てるように指摘されることもあります。
なお、寄与分の額は相続開始時の遺産から遺贈の価額を控除した額を超えることはできないとされています。
●具体的相続分
このようにして寄与分の額が定まると、これをもとに各相続人の具体的相続分を計算することになります。
寄与分とは、相続人間の実質的な公平をはかる制度ですので、被相続人の遺産のうちに、ある相続人が特別の貢献をしたために維持又は増加した部分があるならば、その部分についてはその相続人にもともと固有の持分を認めるべきであるといえます。したがって特別の寄与をした相続人がいる場合、相続開始時の遺産の価額からその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなして各人の法定あるいは指定相続分にしたがって按分した額にその者の寄与分を加えて、その者の具体的な相続分とすることとされています。
ご質問の場合ですと、現実にあるであろう複雑な事実関係をすべて度外視して考えるとすると、あなたの働きで店舗が増え、その間ほとんど無給であったというならば、寄与分は4000万円と言うことになります。あなたは寄与分4000万円に遺産総額一億円から寄与分の4000万円を差し引いたみなし相続財産6000万円を兄弟の頭割りした2000万円を足した6000万円を実際には相続することになります。