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こんな遺言には注意が必要です【2】
【1】の続き・・・
●遺言の年月日が間違っている場合は?
原則として遺言に記載された年月日が遺言の日付ですが、明らかに間違った日付の場合もあります。例えば、「2月30日」のように暦に存在しない日付の表記です。
次に、例えば明治7年などというように事実上あり得ないほど古い日付が記載されている場合です。さらに、例えば遺言者が手術中であったというように、その日に遺言者が遺言を書くということがあり得ない場合もあります。
最終的な真意確認のために、遺言には年月日の記載が要求されるのです。この真意確保の観点からすれば、明白な誤記については有効と考えることもできます。判例においても、手術日に内容を書いておいて、後日日付だけ遡らせて書いた遺言について有効であるとしたケースがあります。
●2枚以上になった遺言書に封印は必要なのか?
遺言書に書きたいことが多いために、遺言書が複数枚になった場合についても、1つの封筒に入れておけば同一の遺言書とみなされます。さらにホチキスなどでとじておいた方が確実です。
割印や契印(紙の綴目に押印すること)については、法律上定めがないので、とくに必要とはされていません。
しかし、遺言書の偽造や変造を防止するためや、将来のトラブルを予防するためには、契印や割印をしておく方が安全です。
この契印や割印をするときには、遺言書の署名の右(縦書きの場合は下)に押印した印鑑と同一の印鑑を使用しましょう。
●遺言書を封筒に入れる
法律的には封筒に自筆証書遺言を入れる場合に封をする必要はありません。
封印された遺言書を開封するときは、相続人またはその代理人の立会いのもと家庭裁判所においてしなければなりませんので、相続人としては、封をしないでもらった方がよいかもしれません。
封をするときは、封筒の表に「遺言書」と書くだけでなく、「遺言書の開封は家庭裁判所に提出して行わなければならない」と書いておきましょう。
●遺言書が2通見つかった場合は?
遺言書が複数通ある場合でも、それぞれの遺言書は有効です。例えば、遺産分割における不動産の扱いについての遺言を書き、それとは別に他の財産の分割について書くという場合も考えられます。また、それぞれ相続人別に遺言書を書くこともあるでしょう。さらに、遺言者の気が変わり新しく書き直したが、前の遺言書を破棄していなかった場合も考えられます。
法律的に正しく作成された遺言であれば、いずれの遺言書も有効です。ただし、【1】でも書きましたが、それぞれの内容に矛盾がある場合は、矛盾している箇所については、新しい日付の遺言書のほうが有効です。
遺言書が2通見つかった場合、2通の作成日が同じであれば、時刻でも書かれていない限りどちら方が新しいのかわかりません。こういった場合、内容に矛盾がある箇所については、両方の遺言書が無効とされる可能性もあります。
この場合、遺言が無効となるのは矛盾している箇所だけで遺言全体が無効になるわけではありません。
さらに、1通は公正証書遺言でもう1通は自筆証書遺言という場合も考えられます。こういった場合も効力は作成日の前後によります。公正証書遺言だからといって、後から自筆証書遺言を作成しても取消せないということではありません。あとから作成する遺言書がどんな方式であったとしても、きちんと法的な要件を備えていれば、前にした遺言を取消すことができます。