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遺言の書き方について
私は、妻を亡くしましたが、4人の子供がおり、農地5筆と自宅の土地・家屋を持っております。私も年老いてきたので、農業を継いでくれている長男に農地と自宅を相続させたいと考えていますが、遺言の書き方を教えてください。
遺言の有用性・・・最近遺言を作成したという人が多くなりました。これは、法定相続分とは違った内容で自分の財産の処分を決めたい人や遺産分割をめぐる相続人間の争いを避けたいと思う人などが増加してきていることによるものと思われます。遺言には、いくつかの形式がありますが、あなたの場合は、公正証書遺言か自筆証書遺言かのいずれかになります。
公正証書遺言・・・これは、法務大臣が任命した公証人が作成する遺言で、公証人のいる公証人役場に行くか、場合によっては、自宅や病院に出張してきてもらって作ります。2人の証人が必要で、遺言の内容を公証人に筆記してもらった後、遺言の内容を証人とともに確認し、証人とともに実印で署名捺印します。遺言者が病気で手が動かず署名できないときは、公証人がその事情を付記して代署してくれます。最後に、公証人が要式に従って作られることを確認して署名捺印して完成します。
公正証書遺言は、文字を書けない人でも作成できること、公証人という専門家が作成保管するので、要式の不備や偽造、変造、隠匿などのおそれがないことなどの長所があります。また、公正証書遺言は、遺言書の死亡後に家庭裁判所に検認の申立てをする必要がありません。
自筆証書遺言・・・自筆証書遺言は文字通り遺言書の内容全部を自分で書く遺言です。自筆で遺言の内容全部を書くことと、作成の日付を必ず書くことと、氏名を自署し捺印をすることが必要です。作成日付として「○年○月吉日」という記載は、月に吉日が複数あることから特定の日の記載と認められず遺言書が無効となります。印鑑は認印でよく、指印も有効とされています。
内容を訂正したときは、遺言者がその場所を指定し変更したことを付記して署名し、変更の箇所に押印しなければなりません。自筆証書遺言は、誰にも知られないで遺言書を作ることができること、費用がかからないことなどに長所がありますが、他人の詐欺、強迫によって作成されたり、隠匿、偽造変造のおそれがあるため、遺言書が真実のものかどうか争いになる可能性が高いこと、形式の不備で無効になる危険性があることなど短所もあります。また、これを執行するためには、家庭裁判所に提出して、検認を受けなければなりません。遺言に封印がなされているときは、家庭裁判所で相続人らの立会いのうえでないと開封できないことになっています。
遺言書作成上の注意・・・公正証書遺言、自筆証書遺言のいずれかの方式を取る場合にも、あなたが亡くなって、遺言を執行するために、遺言執行者を指定しておいたほうがよいでしょう。遺言施行者の指定がないときは、相続人等が家庭裁判所に選任してもらうことができます。
不動産については、登記簿の表示どおり記載することと、「誰々に相続させる」という文言にすることが肝要です。そうしておけば、遺言書だけで相続登記をすることができ、他の相続人を相手にして訴訟を起こす必要がありません。
本問の場合、あなたがほとんどの財産を長男に相続させるという内容の遺言にすると、他の3人の子供達の遺留分を侵害することになるので、できれば、不動産以外の預貯金・有価証券・現金などや農業に支障のない不動産などを他の3人の子供達に相続させることにするなど、遺留分の侵害にならないような遺言にしておいたほうが無難です。
また、遺言は、一度作成した場合でも、新たな遺言で前の遺言を撤回することができますし、新しい遺言が前の遺言と抵触するときは、抵触する部分は前の遺言が撤回されたことになります。さらに、遺言者が遺言と抵触する生前の処分行為を行ったときは、抵触する部分は、撤回されたことになります。