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訴訟当事者が死亡した際の裁判の影響

~Question~

父は友人に1000万円を貸していましたが、いつまでたっても返還してくれないので、弁護士を立てて返還請求の裁判を起こしました。しかし、判決が下りる前に父が突然死亡してしまいました。この裁判はどうなるのでしょうか。

 

~Answer~

 

●係争物が被相続人の一身専属権である場合

裁判の係争中に訴訟当事者の一方が死んでしまった場合、裁判で争われていた権利義務関係(訴訟物)が死亡した訴訟当事者にとって一身専属的なものであるならば、それは相続の対象とはならず、権利義務関係自体が消滅してしまいますから、裁判で争うものがなくなってしまうことになり、裁判はそのまま終了することになります。(離婚訴訟等)

 

●係争物が被相続人の一身専属権でない場合

一方で、係争物が死亡した当事者にとって一身専属的な権利でない場合は勿論相続の対象となり、この場合、被相続人の裁判上の地位もそのままの状態で引き継がれることになります。(これを当然承継といいます)。

したがって、仮に被相続人がこれまで行ってきた訴訟において旗色が悪く、敗色が濃厚であったとしても同じ係争物について新たに別の裁判を起こして争うことは許されないとしています。

ところで、裁判係争中に口頭弁論が終結するまでの間に訴訟当事者が死亡した場合は、原則として訴訟手続きはその進行を中断して、相続人が訴訟を受継することにより進行を再開します。訴訟手続きが中断している間は裁判所も相手方当事者も何ら訴訟行為を行うことはできません。これは中断中に裁判所や相手方当事者の訴訟行為を認めてしまうと不公平な裁判となり、当事者双方に平等に弁明の機会を与えようとする裁判の建前に反するからです。

もっとも、被相続人が生前において弁護士を選任しており、その弁護士が訴訟代理人として訴訟を進めていた場合には、前述したような不都合はありませんので訴状手続きは中断しません。また、死亡したのが訴訟当事者ではなく。選任を受けて訴訟代理人として訴訟を進めていた弁護士である場合は、当事者本人が訴訟活動を行うことができますので、やはり訴訟手続きは中断しません。

ご質問の場合は係争物が1000万円の貸金返還請求権という金銭債権で一身専属権でないことは明らかであり、訴訟は相続人であるあなたに引き継がれますが、弁護士が選任されていますので訴訟手続は中断しないことになります。

 

●訴訟手続の受継方法

ご質問の場合と関連して、訴訟手続中に当事者の一方が死亡した場合の訴訟の受継方法について見ておきましょう。この場合は、相続人である当事者もしくは相手方が受継申立てを行い、裁判所が理由があると認めると申立てがあったことを他の当事者に通知した上で期日を指定して、新当事者および相手方の当事者を呼び出します。これによって中断していた訴訟手続は進行することになります。

なお、双方の当事者が共に受継申立てをしないでいると、裁判所が職権で続行命令を出し、これにより手続きが進行することもあります。

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