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胎児は相続においてどのような地位にあるのでしょうか?

~Question~

私(A)は現在妊娠6ヶ月です。先日、私の夫(B)が交通事故で車にはねられて死亡してしまいました。

夫の財産について、お腹の赤ちゃんは相続することができるのでしょうか?

また、私は交通事故を起こした車の運転手に対して損害賠償を請求する予定ですが、お腹の赤ちゃんも損害賠償請求をすることができるのでしょうか?

 

~Answer~

 

●人の権利能力

民法上の原則によると、人が人として権利を取得し、または義務を負担することは、出生後でなければならないとされています。なので、胎児は母親の
お腹の中にいる間は、権利を取得したり義務を負担したりする地位(これを、権利能力といいます)にはありません。ところが、この原則をすべての場合
において貫くと、胎児の立場からすると、医学の進歩により無事に生まれてくる蓋然性が極めて高いにも関わらず、出生の時期がほんの少しだけ前後
するだけで取得する権利に大きな差が生じることもあり、場合によっては非常に不公平で不合理な結果になってしまうことがあります。

そこで、上記の原則を民法は修正し、「相続」「遺贈」「不法行為に基づく損害賠償請求」の3つの場合に限り、例外的な取り扱いを認めました。すなわち、上記3つの場合では、胎児が無事に生まれてくることを条件として実質的に権利能力があるのと同じ効果を認めているのです。

 

●相続及び遺贈の場合

まず、相続及び遺贈に関しては、相続開始(=被相続人が死亡)の時にまだ胎児が母親のお腹の中にいても、後でその胎児が生きて生まれたときは、
相続開始時にその子がすでに生まれていたものとし、相続人又は受遺者となることを認めています。

なお、この取り扱いは、胎児が胎児である間に権利能力そのものを認めるものではないので、流産や死産により胎児が生きて生まれなかったときには、最初から胎児は存在しなかったものとして取り扱われることになります。また、遺産分割をするときも、胎児が出生するまではこれを代理して協議をすることもできません。

胎児の出生後、遺産分割をするにしても、相続人は母親と子供となり、相続に関して母親と子供(未成年)の利害が対立する場面となりますので、母親は相続放棄をしない限り、たとえ親権者であっても子供の代理人として遺産分割協議を行うことはできません。この場合、母親が家庭裁判所に、子供の特別代理人の選任申立てをした上で、母親と、その選任された特別代理人の間で遺産分割協議を行うことになります。また、出生したばかりの子供の他に相続人となる子がいて、その者が未成年者である場合、子供たち同士でも相続に関して利害が対立する関係になるわけなので、たとえ母親が相続放棄をしたとしても、すべての子を母親が1人で代理することはできず、1人の子供しか代理できません。残りの子供に関しては、やはり特別代理人の選任が必要となります。

今回のご質問の場合でも、お腹の赤ちゃんが無事生まれてくればBの財産をAと半分ずつ相続することができますが、Aが相続放棄をしない限りは、実際に遺産を分割するのに特別代理人の選任が必要となります。

 

●不法行為に基づく損害賠償請求

交通事故のような不法行為が生じたときの損害賠償請求をする権利についても、相続や遺贈の場合と同じ取扱いが認められます。不法行為後に胎児が出生した場合には、不法行為時にはすでに生まれていたものとみなされますので、損害賠償請求をすることができます。実際に加害者に請求する場合、遺産分割をするときとはちがい、母親と利害が対立する場面ではないので、母親が親権者として子供を代理して請求することができます。

よって、今回のご質問の場合も、お腹の赤ちゃんが無事生まれてくれば、逸失利益や慰謝料を請求できると考えられるので、AがCを代理して請求することになります。

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