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遺産分割協議をしなくても、銀行預金の払戻しを受けられるの?

~Question~

私たち夫婦には子供がおらず、両親はすでに他界しています。主人の兄弟とは随分と昔に疎遠になっており、主人が亡くなったことすら知らせませんでした。主人は長年会社に勤め、退職後は年金に頼って生活をしていました。預金は数百万円程度しかありません。私の相続分だけでも、銀行と交渉して払戻しを受けることはできるでしょうか?

 

~Answer~

 

●預金債権の相続と銀行実務

夫婦に子どもがいない場合、預金の全額を単独で相続しようとするときは、配偶者の兄弟をはじめ甥や姪全員の同意が必要になります。したがって多数の相続人が出現したり、相続人が散在していて遺産分割協議をすることが非常に困難になるなどの事態が予想されます。このような場合には、遺言書を作成して配偶者に「全財産を相続させる」としておけば、残された配偶者は単独で銀行預金の払戻し請求をすることが可能です。

遺言書によらず、単独で払戻しを受けようと考える方がいるかもしれません。しかし、銀行備付けの相続人全員の払戻請求書ないし依頼書で手続をとることが銀行実務の扱いとなっており、これが慣行化されているため銀行は払戻しに応じてくれません。今回のご質問のように、相続人が自己の法定相続分だけについて単独で払戻しを請求した場合でも、銀行は相続人全員の依頼書がないと手続に応じることができないと言ってくるかもしれません。これは、他の相続人からのクレームを受けるなど、相続人間の争いに巻き込まれることを回避するために銀行がとった措置のようです。

しかし、金銭その他の可分債権が共同相続された場合には、当然に分割され、各共同相続人は自己の相続分に応じて権利を承継すると解するのが判例です(最判昭和29年4月8日)。各共同相続人が、各人の法定相続分のみを単独で払戻請求した場合には、本来は銀行もこの請求を拒否することはできないはずです。預金債権は一般の金銭債権と同様に可分債権であるため、遺産分割協議が成立していなくても、相続開始により各相続人の相続分に応じて当然に分割承継できると考えられるからです。最近の判例においても、単独請求を認める傾向にあります(東京地判平成16年8月17日など)。銀行に払戻しを拒否された場合で、どうしても単独で払戻しを受ける必要があるならば、訴えを提起するという方法も考えられるでしょう。

 

●払戻請求の手続

夫が亡くなった場合、妻としての法定相続分は、他の相続人が配偶者の兄弟姉妹である場合は3/4となります。払戻しを請求するには、まずご主人が死亡して相続が開始したという事実と、あなたが相続人であること、他の相続人がご主人の親か兄弟か、といった事項によって法定相続分が判明します。したがって、その身分関係を証明するためには、ご主人の出生から死亡に至るまでの戸籍謄本等が必要になります。

これらの書類を準備して、銀行で払戻しの手続をとりましょう。

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