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賃貸不動産を相続した場合の手続きは?

~Question~

父が亡くなり、長男の私と弟妹の3人が相続しました。父は貸地、貸家を含む不動産を相当数所有していました。
このような場合、借主との貸借関係の処理や賃料請求、税金の申告は、どうすればよいのでしょうか。

 

~Answer~

あなた方3人が、それぞれの不動産を相続し、貸主の地位も引き継ぎます。

その場合、各不動産について契約書等によって、賃貸借・使用貸借の別やそれぞれの契約内容などを確認したうえで、賃借人に対しては、弟妹を代表して、あなたが賃料を請求できます。

相続税の申告においては、賃貸借か使用貸借かが不明の場合、不動産の評価が大きく異なりますので、権利関係の確定やその処理には、特に注意が必要です。

 

権利関係の調査・確認・・・お父さんの遺産については、遺産分割協議が成立するまで、すべての不動産はあなた方3人が、それぞれ3分の1の割合で相続し、賃貸人の地位も承継します。

それぞれの貸地、貸家の賃貸借契約書があれば、契約の内容が明確ですが、古くから貸しており、契約書がない物件の場合や長い間放置されていた物件の場合は、借主が誰であるか、また従前の賃料の支払いの有無や金額、賃貸借期間などを確認する必要があります。

そして、権利関係が不明な場合や契約書がない場合には、後々の紛争を防止するため、新たに契約書を交わして権利関係を明確にしておくことをお勧めします。

 

相続不動産の管理・賃料の請求・・・相続財産においては、あなた方3人で協議の上遺産分割しますが、それまでは3人の共有になりますので、賃借人に対しては、相続人の一人が代表して賃料の支払いを請求できます。

不動産の相続登記をしていない場合について、争いはありますが、戸籍謄本などにより貸主の相続人であることを示して、賃料を請求できると解されます。

受領した賃料は、専用の銀行口座を開設して入金し、賃貸物件の管理に要する費用などをその口座から出すことにすれば、相続人間の紛争を防ぐことができます。そして、相続後の賃料や更新料などの収益金の分配については、遺産分割の対象に含めて協議することができます。

しかし、遺産分割協議が成立しない場合には、遺産分割までの賃料等は、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するとの最高裁判所の判決が出ていますので、兄妹3人がそれぞれ3分の1ずつ取得することになります。

 

税金と権利関係の処理・整理・・・お父さんの生前の収入や不動産などの遺産の相続について、種々の税務申告手続きや届け出手続きが必要になります。

遺産額が大きい場合は、相続税に詳しい税理士に相談されることをお勧めします。

ところで、賃貸不動産における権利関係の違い(賃貸借であるか、使用貸借であるか)により、不動産の相続税評価額が大きく変わりますが、賃貸借か使用貸借かが明確でない場合は、借主との間で紛争が生じたり、裁判になることがあります。

その場合に、借主との示談・裁判上の和解での書面の内容(たとえば、若いまでの貸借関係を明確に確認せず、和解以後についての賃貸借契約を確認する場合)により、法律上の権利関係と税務署の認定が食い違ってしまう場合があります。

このような点を含めて、相続税の申告、納税に関する問題については、相続を契機とする遺産の整理や処分の仕方を工夫して進める必要があるため、税理士と弁護士の協議・協力が必要になることがありますので、専門家に相談されることをお勧めします。

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