相続・遺言トータルサポート大阪TOP > 相続ブログ > 寄与分の取り扱いはどうするか?
相続ブログ
寄与分の取り扱いはどうするか?
~Question~
父が亡くなりました。長男の私は父と同居し、その生活の面倒を見てきましたが、相続の話し合いにおいて、そのことは考慮されないのでしょうか。
~Answer~
お父さんの財産の維持または増加に特に寄与した場合、遺産分割にあたって考慮されます。ただし、寄与分の金銭的評価は困難なことが多く、認められにくいのが実情です。
「寄与分」とは・・・民法では、「被相続人の生前にその財産の維持や増加に特別の貢献・寄与をした相続人」は、遺産分割で具体的な相続分を決定する場合に、寄与分を主張できると定められています。これは、寄与をした相続人を優遇することによって、相続人の間の実質的な公平を図るためです。
寄与分として評価されるのは、
①被相続人の事業に子が従事してその財産を増大させた場合や、
②子が現金を提供したり、
③所有する不動産を無償で貸与して、その財産を維持・増加させた場合などです。さらに、
④被相続人を介護したり、世話をした場合や
⑤被相続人の生活費や治療費を負担した場合などがあてはまります。
ただし、精神的な援助は対象となりません。
なお、寄与分が認められるのは、相続人に限られますので、相続人でない人(義理の関係である嫁など)は、寄与分を主張することはできません。
寄与分の評価及び決定手続・・・寄与分を認めてもらうには、被相続人との身分関係から当然と考えられるような貢献では足りず、「特別の寄与」と評価できるものでなければなりません。
たとえば、同居しただけでは、扶養義務の範囲内の行為でしかありません。
これに対し、被相続人を長期間、無償に近い状態で介護した場合などは、寄与分に当たります。しかし、その金銭的評価は簡単ではありません。
寄与分は、原則として、相続人間の協議で定めるものとされていますが、協議が調わないときは、家庭裁判所に調停を申し立て、寄与分を話し合うことになります。
それでも合意できない場合は、遺産分割の審判に併せて、寄与分を定める審判を申し立てます。
実際に、家庭裁判所の審判において、重い老人性認知症の被相続人を10年にわたって看護した娘に、付添人の費用に相当する1,100万円余りの寄与分が認められた例があります。