相続・遺言トータルサポート大阪TOP > 相続ブログ > 相続について③
相続ブログ
相続について③
~Question1~『養子がいる場合は、兄弟姉妹は相続人になれないのか』
先日、私達4人兄弟の長男が亡くなりました。私たちの親はすでに他界しています。亡くなった長男は生涯独身を貫いていると思っていたのですが、養子縁組をした子どもがいたのです。このように養子がいた場合は、私たち兄弟は相続人になれないのですか?
民法のルール・・・誰が被相続人の財産を相続するかについては、遺言があればそれに従い、そうでない場合には、民法に規定されている一定のルールを基準にします。そのルールは、まず、①一定の血族の者に順位を付けて「相続人」とし、さらに、②「配偶者」は常に「相続人」になると2本立てとなっています。そして、2本立てルールのうちの1つである、①「一定の血族の相続人」には順位がついていて、第1順位は「子」、第2順位は直系尊属、第3順位は兄弟姉妹で、同順位に複数人いるときは、その者の共同相続ということになっています。
順位の考え方・・・順位は、相続分とは切り離して、まず、そもそも誰が相続人となるかを決めるものです。そして、先順位の者がいる場合は、後順位の者は相続人になれません。例えば、被相続人の「子」はいないが親がいる場合には、第1順位の者はいないが第2順位の者はいるので、この第2順位の者が相続することになり、第3順位である被相続人の兄弟姉妹は相続人になれないと考えるのです。
養子縁組・・・では、養子縁組をしていた場合はどうなるのでしょうか。養子縁組すると、縁組の日から養子は養親の嫡出子となり、その時から養親の血族との間に法定の血族関係が発生します。
このように、養子は養親の「子」になるので、第1順位の相続人ということになります。第1順位の相続人がいる以上、それより後順位となる第2順位や第3順位にあたる者は、相続人となることができないのです。
したがって、あなた方兄弟は相続権はないということになります。
~Question2~[夫には相続させたくない]
私の夫はすぐに私に暴力を振るいます。生活費も入れてくれなかったので離婚も考えましたが、応じてもらえませんでした。私は親から相続した財産があるのですが、私が死んだ時に夫に相続させないようにすることはできますか?
相続人になれない場合・・・民法のルールで相続人とされるとはいえ、相続人と推定される者が、常に相続できる訳ではないのです。自らの意思で相続を放棄する場合以外に、相続人と推定される者がその意思に反して相続権が失われる場合が2つあります。
その1つが「相続欠格」です。そしえ、もう1つは「推定相続人の廃除」という制度です。これは、「相続欠格」のように当然に相続権を失わせるというほどの事情はないけれども、相続人と推測される者に相続させたくないような事情がある場合には、被相続人が家庭裁判所の審判または調停によって、その相続人の相続権を奪うことができるものです。
推定相続人の廃除・・・「推定相続人の廃除」は当然に相続権を失う「相続欠格」と異なり、被相続人の請求や意思表示が必要です。被相続人がこの請求を家庭裁判所にできるのは、①遺留分を有する推定相続人が被相続人を虐待し、もしくはこれに重大な侮辱を加えたとき、または、②遺留分を有する推定相続人にその他の著しい非行があったときです。
そして、家庭裁判所はそれぞれの場合に、理由があるかどうかを審判し、理由があるとして廃除の審判が確定すると、相続人はその時から相続人ではなくなります。ここで「遺留分を有する」と限定しているのは、兄弟姉妹のように遺留分を有しない者については、相続させたくない場合は遺言等で他の者に相続させることにより、同じ目的を達成できるからです。
このように、「推定相続人の廃除」は、被相続人が生前に家庭裁判所に請求することによって行うことも出来ますが、廃除の意思表示を遺言ですることもできます。遺言でした場合には、遺言執行者が家庭裁判所の請求をすることになります。
取消しも可能・・・「推定相続人の廃除」は、相続人の生前の請求によって行われますが、その後、事情が変わったり、気が変わったりしないとも限りません。そこで「推定相続人の廃除」については、いつでもこれを取り消すことができます。その場合、家庭裁判所に取消しの請求をする必要があります。また、遺言によって廃除の取消しをすることもできます。そして、廃除の取消しがなされると、その相続人は廃除がなされなかったことになります。
なお、廃除された者から、取消しを求めることはできません。