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相続不動産の当事者のお話
[Question]
私が買うつもりの不動産の登記名義人は死亡していて、売主はその長男ですが、他に相続人がいるようなので注意すべき点を教えてください。
[Answer]
登記名義人の死亡・・・不動産の権利関係は、登記によって公示されるので、不動産取引をする場合、まず、登記簿を閲覧し、権利関係を調査します。所有者が死亡した場合など、相続登記がなされないことも多く、先々代の登記名義のまま放置されている例すらみられます。
相続関係の調査・・・このような場合には、登記名義人の戸籍謄本を取り寄せ、死亡した名義人の相続人が誰であるかを調査する必要があります。法定相続の場合、配偶者は常に相続人となります。
そして、子があれば、実子、養子あるいは嫡出子、非嫡出子にかかわりなく、その子が相続人となりますが、子が死亡していれば孫が、孫も死亡していれば曾孫が相続人となります。これを代襲相続といいます。
養子の子も代襲相続ができますが、養子縁組前の養子の子は除かれます。また、子も代襲者も居ない時は、親などの直系尊属が、これらもいないときは兄弟姉妹が相続人となります。
兄弟姉妹が相続開始前に死亡しているときは、その子が代襲相続しますが、兄弟の孫以下は、昭和55年の民法改正で代襲相続権がなくなりました。
売買契約の当事者・・・登記名義人が死亡したままでも、遺産分割や相続放棄によって特定の相続人が所有者となったときは、その者と取引すればよいのです。遺贈があった場合でも同様です。
したがって、本問の場合、売主である長男から遺産分割協議書、家庭裁判所の相続放棄受理証明書、あるいは遺言書を示され、その者が権利者であることがはっきりすれば安心してその者と取引することができます。
しかしそうでないときは、前述の調査によって判明した相続人全員が契約の当事者にならなければ有効な売買が成立しません。したがって、契約書に相続人全員の署名捺印を求めるか、他の相続人が長男にその売買に関し代理する権限を与える旨の委任状が必要です。
これを怠ると、買主は、最悪の場合、長男の相続分しか取得できないことになります。気をつけてくださいね!