相続・遺言トータルサポート大阪TOP > 相続ブログ > 会社の株主としての地位を相続できるのでしょうか
相続ブログ
会社の株主としての地位を相続できるのでしょうか
~Question~
先日私の父(X)が亡くなり、遺品を整理していたところ、多数の株券が見つかりました。私(A)はこれらの会社の株主として権利を行使したいのですが、株主権も相続財産に含まれるのでしょうか。
~Answer~
●株主権の相続性
株主権とは、株式会社の出資者(なお、株式会社を含めた各種会社における出資者を法律上、社員と呼びます)である株主が、会社に対して有している権利のことです。これには、会社から利益配当などの経済的利益を受ける権利(=自益権)と、会社の経営に参加する権利(=共益権)があります。もっとも、共益権といっても、株主が会社の経営に関与できるのは、株主総会での議決権の行使など、限定された場面にすぎません。よって、株式会社にとって、株主が特定の者である必要はありません。要するに、株主権は一身に専属する権利ではなく、譲渡性が広く認められていることから、相続性も肯定されます。したがって、今回のご質問の場合も、Aは株主権を相続により取得することができるということになります。
●株主権の行使方法
ところが、株主権は金銭債務とはちがって、遺産分割を待たずに当然に分割されるわけではありません。また、株式会社においては会社法上、株主名簿の作成が義務づけられており、そこに株主としての記載がないと、仮に株券を持っていたとしても、権利行使は認められません。要するに、株主権を相続したとしても、ただそれのみでは会社に対し権利を行使することはできないということです。そこで、具体的に権利を行使するには、まず相続人が1人である場合には、株券を株式会社に呈示して、株主名簿上の名義書換えを受け、その上で権利を行使することが必要となります。一方で、相続人が複数いる場合、遺産分割協議が成立する前は株主権が共同相続人の共有(=準共有)に属することになりますので、共同相続人の多数決(全員一致が必要との考えもあります)でそのうち1人を権利行使者と定め、その者が名義書換を受けて権利行使することになります。遺産分割協議が成立した後は、それにより株主権を取得した者が株券を会社に呈示して名義書換を受けて権利行使すればいいことになります。
●その他の会社の社員たる地位
以上のように、株式会社の社員たる地位(株主権)は相続の対象となりますが、法律上認められている他の種類の会社でもすべて同じように考えられているわけではありません。なお、会社法の施行に伴い、有限会社は特例有限会社となり、株式会社と同様の扱いとなりますのでご注意ください。