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香典・弔慰金は葬儀費用に充ててよいのか【前編】

~Question~

先日、私の母が病気で亡くなりました。長男である私の兄が喪主として葬儀を執り行いましたが、その費用は金銭的に余裕のあった私が負担をしました。葬儀には多数の弔問客の参会を得て、香典・弔慰金も相当多額なものとなりました。私はこれを葬儀費用に充てようと考えているのですが、兄は「香典・弔慰金は相続財産に含まれるから、兄弟全員で分けるのが普通だろう」と主張してきました。はたして、どちらの言い分が正しいのでしょうか?

 

~Answer~

 

●葬儀費用は誰が負担をするべきか

“家”制度のなくなった今日、遺族の中で誰が喪主として葬儀を執り行うのか、また誰が葬儀費用を負担すべきであるかについては、法律上の規定が存在しません。もっとも、配偶者か長男が喪主になるケースが多いのですが、その場合、喪主となった者に葬式費用までもすべて負担させることは、相続財産に関しては法定相続分を定めてこれに従った均等な相続分を認めていることと比べると、公平性を欠くといえるでしょう。

 

●香典・弔慰金の性質

弔問客が香典・弔慰金を贈る趣旨として、死者を供養しあるいは遺族の抱える悲しみを慰めるという意味があります。しかしその主たる目的は、遺族が支出を余儀なくされる葬儀費用等の負担を軽くするために、遺族に対して金銭その他の財物を贈与することです。このような性質から考えると、香典や弔慰金は相続財産には含まれないことになるでしょう。

そこで葬儀費用については、葬儀が死者の社会的・経済的地位から見て分相応なものである限り、第一次的には香典や弔慰金から充当します。

そして、香典や弔慰金が葬儀費用に満たない場合には、葬儀費用は相続財産に関する費用と考えられるため、まずは相続財産の中からこれを支払います。それでも不足をするという場合には、共同相続人の各自が相続分に応じてこれを負担することになるでしょう。

一方で、身分不相応な葬儀が執り行われた場合には、そのような葬儀は喪主の裁量で執り行われたものといえるため、その不相応な超過部分については喪主が負担しなければなりません。

 

【後編】に続く・・・

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