相続ブログ|相続・遺言手続トータルサポート大阪

相続・遺言トータルサポート大阪TOP > 相続ブログ > 祭祀を主宰するものには多く分けるべきなの?

相続ブログ

祭祀を主宰するものには多く分けるべきなの?

~Question~

父が亡くなり、相続人は私たちの兄弟4人です。長男は、先祖の祭りや法事にたくさんの費用がかかるから、自分ひとりで相続すると主張して遺産分割に応じません。そんなことが許されるのでしょうか。

 

~Answer~

先祖の祭祀の主催者は、系譜、祭具および墳墓など祭祀財産を承継します。しかし、この祭祀承継と相続は無関係です。兄弟が4人で共同相続したお父さんの遺産を、長男が祭祀の主催者のなっているからと言って、当然に単独で相続することはできません。また、遺産分割の際に具体的な相続分のほかに祭祀の費用として余分に分割を受ける権利があるわけでもありません。もっとも、他の兄弟全員が同意すれば、祭祀を主催する長男の事情を考慮して、長男に他の相続人よりも多くの遺産を取得させる分割をすることはできます。

 

●祭祀財産

祭祀財産とは、祖先の祭祀を行うために必要な財産で、具体的には墓地、墓石、仏壇、仏具、神棚、神具、系譜等を言います。これらの財産は相続財産には含まれません。現行民法では、家、戸主、家督相続の制度がなくなりましたが、祖先に祭祀については、祭祀財産を相続財産として共同相続の対象とするのは国民生活の習慣や国民感情に反するとして、祭祀財産を相続財産から切り離して、その承継者も相続とは別の方法で定める事にしています。

 

●祭祀財産の承継

祭祀財産は、遺言により、あるいは遺言によらなくても被相続人が祭祀主催者として指定したものが承継します。被相続人の指定がないときは、習慣に従って決まりますが、この習慣が明らかでないときは、家庭裁判所で祭祀財産の承継者を決める事になります。

祭祀財産の承継は相続とは無関係ですから、祭祀の主催者である相続人も祭祀財産を承継したことによって、相続に際して相続分が減らされたり、あるいは祭祀を営む為の費用を相続財産から控除して当然に取得したり、また相続分が増えたりすることはありません。

もし長男が分割の協議にどうしても応じないときは、相続人の誰からでも家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立て、それでも解決できないときは審判で決めてもらうほかありません。

なお、祭祀の承継者には、被相続人と同居していたり、家業を承継するものであったり、被相続人や遺産に密接に関係する者がなることが多いようです。祭祀の承継者がこれらの理由で遺産の維持又は増加に特別の寄与をしたという事情があれば、寄与分の主張が認められて具体的な相続分が他の相続人より増加することはありますが、それは祭祀の承継者であることとは別の理由からですので、混同しないようにする必要があります。

無料相談受付中!【受付時間】平日・土・日9:00~18:00お電話からのお問い合わせは0120-13-7838無料相談予約はここをクリック