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事故死した者から加害者に対する慰謝料請求権【後編】
事故死した者から加害者に対する慰謝料請求権【前編】の続き・・・
●死者の逸失利益・慰謝料
⑤については、死者の損害であるため相続人しか請求することができません。その額は基本的次のような計算式で算出します。
逸失利益=事故前の現実の年収額×(1-生活費控除率)
×就労可能年数に対応するライプニッツ係数もしくは新ホフマン係数
生活費控除率は、その死者が家庭の中でどのような立場であったかによって変わってきます。また就労可能年数は、原則として18歳から67歳までとされます。
⑥については、慰謝料という言葉はよく使われますが、正確には被害者の被った精神的な苦痛に対する損害賠償をいいます。これは被害者本人の一身専属権ではなく、被害者が死亡前に何らかの意思表示をしたか否かにかかわりなく相続の対象となるため、相続人は請求することが可能です。
これについては、慰謝料請求権は一身専属権であり、被害者本人が現実に請求し、具体的な金銭債権になってはじめて相続の対象になるのだという考え方もあるようです。しかしこの考え方だと、被害者の即死の場合には慰謝料請求権が発生しないことになり、死亡まである程度時間があり被害者本人が請求の意思表示をした場合には発生することになります。このように、同じ死亡であるのに死亡時の先後によって⑥が認められたり認められなかったりして不合理なので、妥当ではありません。なおもちろんのことですが、⑥を相続人以外の遺族が請求することはできません。
以上より、亡くなったご主人の死亡に伴う慰謝料請求権が、妻であるあなたと2人の子どもに法定相続分に応じて相続されることになるため、これを請求することが可能です。
また⑥とは別に、遺族は⑦の請求権を有しています。⑦の請求権は相続人以外の遺族にも発生するものです。相続人であれば⑥と⑦を併せて請求することができます。ただしこの場合、⑥または⑦の一方だけを請求した場合と比べて支払いを受けられる損害額が多額になるというわけではありません。裁判上もおおむね差のない金額におさまります。これは、ひとつの死亡事故により発生する慰謝料について、その請求方法によって差が出るのは不合理といえる場合が多いからであると考えられています。