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事故死した者から加害者に対する慰謝料請求権【前編】
~Question~
私の夫は交通事故に遭い、瀕死の状態で病院に搬送されましたが、間もなく死亡しました。残された私と2人の子どもは、加害者に対して損害賠償を請求したいと考えています。このとき、死んだ夫の慰謝料についても併せて請求することができるのでしょうか?
~Answer~
●損害の内容
不法行為によって生命の侵害があったとき、被害者本人または遺族(多くの場合は相続人)に発生する損害には以下のようなものがあり、このとき遺族は不法行為と相当因果関係のある範囲内で賠償を請求することができます。
まず、積極損害(事故によって出費をせねばならなくなった費用)として
① 医療関係費(治療費)
② 不添看護費(入院の際の交通費や含入院雑費)
③ 葬儀にかかる費用
④ 弁護士費用などが挙げられます。
消極損害(事故によって、本来取得するはずであった利益を失ったことの損害)としては
⑤ 死者の逸失利益があります。
最後に、精神的損害として
⑥ 死者の精神的苦痛としての慰謝料
⑦ 遺族の精神的苦痛としての慰謝料が挙げられます。
このうち①と②については、被害者本人が支出することもあれば遺族が負担することもあります。前者の場合は相続の対象となるため、相続人しか請求できません。後者の場合は現実に支出した者が固有の損害として請求することができるので、実際に支出した者が相続人である必要はありません。この場合は、損害額は現実の支出額が基準になります。
③と④については、被害者本人が支出することはあり得ないので、現実に支出した遺族(相続人に限らない)が固有の損害額として請求することができます。損害額については、③の場合は、葬儀が行われた事実が認められる場合に死者の年齢や職業、社会的地位などを考慮したうえでの合理的な額が損害として認められます。そのため、実際に支出した金額のすべてが損害として認められるわけではありません。おおよその目安としては、、100万円から130万円になります。④の場合は、加害者が交渉に応じず弁護士に示談を依頼し、あるいは訴訟提起ということになった場合に相当額が損害として認められています。
【後編】に続く・・・