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他家へ養子に出た者は、実親を相続できるの?

~Question~

私(A)は幼いころ、養子に出て今日に至っています。先日、私の実の父母が飛行機事故により死亡しました。実父母には私のほかに2人息子がいて、彼らは養子に出た私には相続する権利はないと主張しています。本当にそうなのでしょうか?

 

~Answer~

 

●養子縁組とは

養子縁組とは、血縁上は親子ではない者を、法律上親子としてしまう制度です。我が国では、「普通養子」と「特別養子」の2種類が認められています。

 

●普通養子

どれだけ養子縁組の意思があり、長年一緒に暮らしていたとしても(=事実上の養子)、また、将来養子になる予定だとしても、それだけでは法律上の
親子関係は発生しません。相続関係においては、相続人としての地位にあることが「戸籍上」明らかである必要があるのです。

養子縁組は、これを成立させようとする者がその旨を合意し、縁組届を市町村役場に提出し、これが受理されてはじめて成立します。そして、養子となった者は、その日から養親の嫡出子としての身分を得ます。要するに、養子となる者は実子と同じ立場に立つということです。さらに、養子と養親およびその血族の間にも、縁組成立の日から血族間と同じ親族関係が生じることになります。また、養子は原則として養親の氏を称し、戸籍も養親の籍に入ります。子供が未成年であれば、親権も実親から養親に移ることになります。

なお、養子になった者の養親およびその親族と、実親およびその親族の間には何ら親族関係は生じません。

一方で、このように養子縁組がなされたとしても、養子と実親および実方の親族との関係は、一切影響を受けません。このような養子縁組のことを「普通
養子」といいます。要するに、普通養子では、養子縁組がなされると実親子関係と養親子関係が併存することになります。したがって、実方の関係でも相続権が生じることになります。

今回のご質問の場合も普通養子と考えられるので、Aの実父母の遺産につき、Aは法定相続分として3分の1の相続権を取得します。また、仮に今後養父母が亡くなった場合でも、Aは嫡出子として相続できることになるので、その意味では実方、養方と二重に相続できることになります。

なお、養子縁組の際に、実父母から相当の贈与があった場合は、遺産分割をするときにその贈与が特別受益として考慮されることがあります。また、今回のご質問の場合と関連して、仮に養子が先に亡くなり、養子に子や孫がいなかった場合には、実父母・養父母の4人とも養子の財産を相続することができます。

 

●特別養子

上記のような「普通養子」に対して、昭和63年より「特別養子制度」が新しく設けられました。これは実親が経済的に困窮していたり、子供を虐待しているような場合、養親となる者が家庭裁判所に請求して、「子の利益のために特に必要がある」と認められた場合、審判により実父母および実方の血族との親族関係を終了させ、縁組を成立させるものです。この制度は、子供が新しい家庭に違和感なくとけこむことができ、暖かな家庭生活を送れるようにとの趣旨からつくられたものなので、養親は父母ともにそろっていることが条件となり、養親・養子関係について年齢制限があります。また、普通養子の場合とちがって離縁は原則として認められません。

この特別養子の場合、実方の親族関係は終了するので、実父母が亡くなっていても一般的には相続権は発生しないことになります。

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