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遺産評価の時期について
~Question~
被相続人の財産のうち不動産やゴルフ会員権などは、被相続人が亡くなってから現在までに数年が経過しており、その価値が大きく下がっています。このような状況の中で遺産分割をするとして、遺産はどの時点で評価するのが適当なのでしょうか。
~Answer~
●遺産の客観的評価
遺産分割は、遺産の中の個々の財産の分割を集積したものではなく、遺産全体を総合的観点に立って価値的に偏りがないように相続人間で分配することですから、遺産全部についてその価額がわからなければ、相続分に応じて公平に遺産を分けることは出来ませんし、そのことから紛糾を生じて遺産分割をする上で妨げとなるおそれがあります。
そこで、遺産分割協議をスムーズに進める上で、もしくは調停や審判をする上でも、不動産など客観的価値を評価できる遺産については、その価値を評価する必要があります。
そして、遺産の客観的価値というのは、実際の取引価額、つまり時価を基準とするものとされています。時価については、相続人間で合意できればどのような方法でも良いのですが、例えば不動産については近隣の実際の取引価額や、固定資産税や、相続税の課税標準価額あるいは、地価公示法による公示価額を参考に、ゴルフ会員権や株式、自動車等については相続税法上の遺産評価方法が参考になると思われます。
これでも納得がいかない場合には、費用はかかるものの、例えば不動産については不動産鑑定士に、ゴルフ会員権等については相場がありますので、市場における取引価額を参考にして専門家にそれぞれ鑑定を頼むと良いでしょう。
●いつの時点で評価をすべきか
このように遺産の客観的価値を知るために、時価で評価すべきであるとしても、遺産のうちには、不動産やゴルフ会員権などの価額の変動が激しい財産が含まれる場合があります。その時、相続開始の現実に遺産を分割しようとするまで相当な期間が経ち、その間に評価が大きく変動している場合には、いつの時点での時価を基準とするかによっては、遺産分割によって得た財産の現在の価値が相続人ごとに大きく異なることが考えられ、不公平なだけでなく、それを前提にすると遺産分割自体が成り立たなくなることも考えられます。
したがって、相続人間の公平を保ち、不平がでないようにするために、現実に分割をする時点で時価評価する必要があり、裁判所の実務でもそのように取扱がなされています。