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生前贈与や遺贈を受けた場合の相続分ってどうなるの?

~Question~

先日父が亡くなりました。兄は生前独立する際に家族で住む家を建てて貰っていますが、私は二男で結婚もしていないため、父から何もしてもらっていません。このような場合、遺産を分けるにあたって兄が建ててもらった自宅についてどのような取扱をすれば良いのでしょうか。

 

~Answer~

 

●特別受益とは

今回のご質問のような場合、残っているお父さんの遺産を法定相続分にしたがって分配すると、お兄さんだけが得をして非常に不公平な遺産分割となる可能性があります。そこで法律上、共同相続人となる者の中に被相続人から遺贈を受けていたり、一定の生前贈与を受けていた者がいる場合には、相続分の前渡しをされたものと考えて、その者の相続分を減らすこととされています。この遺贈を受けた者を、一般に『特別受益者』といいます。

ただし、被相続人が生前贈与や遺贈をする際に相続とは関係ない旨の意思表示をしている場合には、生前贈与や遺贈が相続分の前渡しとして行われたとは言えないので、被相続人の意思を尊重し、他の相続人の遺留分を侵害しない限り特別受益者の相続分は減らさないこととされています。

なお、この被相続人の意思表示は遺贈については遺言で行う必要がありますが、生前贈与については格別方式は決まっていません。もっとも書面を残しておかないと後日生前贈与を受けた相続人がこれを証明するのが困難となりますので、書面に残しておくべきでしょう。

 

●特別受益の内容

まず遺贈については、被相続人が反対の意思を表示しない限り、原則として特別受益に該当します。

一方、生前贈与については被相続人から婚姻、養子縁組のため、あるいは生計の資本のために贈与を受けたような場合に限られ、単に小遣いや扶養料をもらうとか誕生日に着物を買ってもらう程度ではこれに含まれません。

具体的には婚姻とか養子縁組のための贈与としては持参金や嫁入道具等が特別受益に含まれますが、挙式費用や宴会費用等は親のためという側面もありますので、必ずしも含まれるとは限りません。また、生計の資本としての贈与としては親と世帯を別にして独立する際に土地をもらったり、家を建ててもらったり、あるいは事業資金を出してもらうことなどが特別受益に含まれますが、他の兄弟姉妹と比較して格別に高等教育を受けさせてもらったとか、海外留学させてもらった場合にはこれも含まれる場合もあります。なお、特別受益に該当する生前贈与は、遺留分の場合と異なり、被相続人の死亡前1年以内のものというような制限はなく、いつ行われたものであってもかまいません。

ご質問の場合、お兄さんは独立の際に家を建ててもらっているので、お父さんが特に『これは相続とは関係ない旨』の意思表示をしていなければ当然特別受益に該当することになります。

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