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自宅の土地と建物の遺産分割をするには?
~Question~
父が亡くなりました。相続人は母と長男である私と既に嫁いでいる長女の3人です。
父の遺産としては、自宅の土地建物しかなく、現在私たち家族と母が住んでいます。姉は嫁ぎ先の夫名義の家に住んでいますが、このような場合の遺産分割方法はどうなるのでしょうか。
~Answer~
●均分相続
遺言がなければ法定相続分の分け方になりますが、この場合、お母さんが2分の1、あなたとお姉さんが4分の1ずつになります。このことはもちろんお姉さんが嫁いで行っても変わりません。お姉さんが相続放棄をしない限りは何らかの方法でお姉さんにも遺産を分けなければなりません。
●現物分割と換価分割
遺産分割をする際に原則となる方法は、遺産の中の個々の財産そのものをそのまま相続人間で分配する方法ですが、ご質問の場合のように遺産が自宅の土地建物しかなく、これを分割して個々の相続人が単独でその一部分ずつ所有するとなると、その効用が大きく損なわれるおそれがあるときは、この方法をとることは困難です。また、現物分割ができないか、著しく価格を損なう場合には、遺産を売却処分して売却代金を相続分に応じて分配する方法もありますが、ご質問の場合のように遺産である自宅の土地建物に以後も住み続ける意思を有するものがいるときは、この方法をとるのは難しいでしょう。
●代償分割
そこで、ご質問のような場合に考えられる方法としては、代償分割という方法が考えられます。代償分割とは、ある相続人が遺産の現物を取得する代わりに、その相続人の相続分を越えて取得する形となった部分の価額に見合う金銭を他の共同相続人に対して支払う債務を負担するという分割方法で、共同相続人全員の合意があれば自由にできます。
つまり、ご質問の場合、あなたが自宅の土地建物を全部取得し、その価額の2分の1に見合う金銭をお母さんに、4分の1をお姉さんに支払うなどが考えられます。
ただ、金銭を支払う債務を負った相続人が分割時にその金額の全額を支払うことが出来ないときは、他の相続人に対して分割払いや、支払いの一時猶予を求める等の方法をとることになり、それではその支払いの確実性に他の相続人から疑義が生じ、現物を取得しない相続人が代償分割に反対することも考えられます。
そこで、土地建物を取得する相続人が銀行などから借り入れをしてできるだけ一括払いにつとめるか、分割払いとしても自宅の土地建物に担保権をつけるなどの方策を講じる必要があるでしょう。
●共有とする分割方法
なお、代償分割の協議がまとまらないときは、お姉さんが共有物分割の請求をするおそれがないのであれば、暫定的に自宅の土地建物を相続人全員の共有とする形で分割し、お姉さんの相続部分についてお母さんとあなたが使用貸借や賃貸借とするという形をとることも考えられます。
ただし、この共有とする分割の方法は紛争を先送りにするだけの場合もありますので一般的にはあまりおすすめできません。
以上は、共同相続人間で遺産分割の協議がまとまることを前提に述べてきましたが家庭裁判所に調停や審判を申し立てて同様の分割方法を求めることもできます。