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遺産からの収益がある場合について
~Question~
父の死亡後、相続人である兄弟4人の間で遺産分割の話合いをしてきましたが、3年たった今も分割協議が成立していません。その間に遺産である賃貸マンションの家賃もかなりの額になり、また株の配当がありました。こういうものは、どのように処理すればよいでしょうか。
~Answer~
マンションの家賃や株の配当、預金の利息などは、相続が開始した時に存在したものでありませんので厳密には遺産ではありませんが、これらも遺産と一括して分割の話合いをするのが適切です。
●遺産からの収益
相続が開始してから遺産が現実に分割される間にはある程度時間を必要とするのが通常であり、相続開始後3年も経過しますと、その間に発生するマンションの家賃や預金の利息も相当多額になり、また株式について利益配当などがなされることがあります。これらの遺産からの収益は物の使用の対価として生じたもので、法定果実といわれるものですが、遺産分割がなされるまでは、共同相続人がこれらを共有していると考えられます。
これらの遺産からの収益を遺産分割の対象とできるかどうかについては見解が分かれており、これらの遺産からの収益は、あくまで遺産とは別個の共有財産で遺産分割の対象とならないという見解もあります。しかし、このような遺産からの収益をまったく除外して遺産分割をすることは、別個に収益だけについて再び分割の手続きをしなければならないことになって非常に煩雑で、遺産分割に際しては遺産全体の問題を一挙に解決すべきであるとする見解にも相当な合理性があると思われます。実務上は、共同相続人の間で合意があるときは、家賃などの収益も遺産と一括して遺産分割の対象とするのが適切と思われます。
したがって、今回のご質問の場合も、兄弟4人の同意のもとに、これらの収益についても、兄弟のうち誰がどれだけ取得するのか、分割の際に話合う必要があります。
●遡及効との関係
なお、遺産分割には遡及効があり、例えば長兄が賃貸マンションを遺産分割により取得した場合、そのマンションは相続開始の時から長兄の所有であったことになりますが、相続開始から遺産分割までの間のマンション家賃を他の相続人である次男が分割により取得することをなんら妨げるものではありません。