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家事調停の申立やその手続きについて
~Question~
遺産分割について、家庭裁判所の遺産分割調停の手続きを利用して問題を解決しようと考えているのですが。どのように調停の申立てをしたらよいでしょうか。また、調停手続きではどのようなことが行われるのでしょうか。
~Answer~
●調停の申立方法
調停を申し立てることのできるのは共同相続人等で、1人で申立てをしてもよく、申し立てる際には相手方となる共同相続人等の住所地、または、調停の当事者となる者が合意して定めた家庭裁判所に申し立てることになります。
法律上は調停の申立ては書面でも口頭でもできるようになっています。しかし、実務上はほとんど書面で申立てを行うことになっています。多くの家庭裁判所では備付けの書式が用意されていますので、それに記入して提出すればよいでしょう。
申立内容となる遺産分割方法の態様としては特に制限があるわけではなく、現物分割や換価分割をはじめ各相続の特殊事情に応じた様々な分割方法を希望する旨申し立ててもよく、また遺産の全部について分割の調停を申し立てる必要はなく、一部であってもかまわないとされています。
また、申立には戸籍謄本や遺産目録が必要ですので、事前に家庭裁判所に相談してください。
●調停手続き
以上のように調停の申立てがなされますと、書記官が形式的記載に不備がないかをチェックし、受理するか否かを判断します。そして、受理された場合、裁判所によって民間人の中から任命された家事調停委員(2名)と家事裁判官1名が調停委員会を作り、調停期日と開始時刻を指定して当事者等を所定の場所に呼び出します。
調停の内容としては、まず担当の調停委員が当事者双方や代理人等から紛争の実情や分割等の希望等を聞きます。この事情聴取は申立人と相手方と別々に行うのが一般的であり、代理人として弁護士を選任している場合でも原則として当事者本人も出頭しなければならないとされています。このような手続きで事情を把握したうえで様々な助言をしながら当事者の話合いによる合意を目指します。また、互いの譲歩を前提として機が熟したと考えれば、調停委員会が調停案の提案をすることもあります。
なお、調停期日の回数や期間に特に制限があるわけではなく、調停の成立する見込みなど様々な事情によってケースバイケースで決められます。
●調停手続きの終了
調停手続きが終了する場合としては、調停成立・調停不成立に加え、調停取り下げ・調停拒否があります。
調停成立は、調停期日において当事者間に合意が成立し、調停委員会がその合意内容を相当と認めて調停調書に記載することであり、この調書は確定判決と同一の効力を持ちますので。その内容に従った遺産分割が法的に強制されることになります。
一方調停不成立は、調停委員会が当事者間で合意が成立する見込みがない、もしくは成立した合意内容が不相当だと判断して調停手続きを打ち切ることで、この場合当然に審判手続きに移行し、調停申立の時に遺産分割の審判の申立てがあったものとして扱われます。
なお、いずれの終了事由による場合であっても調停は裁判ではないので、調停終了に対する不服申立てはできないこととされています。