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遺産分割におけるトラブルの生じるケースについて
~Question~
遺産分割においてトラブルが生じる場合としては、どのようなパターンがあるのでしょうか。また、トラブルを解決する指針を教えてください。
~Answer~
●感情的対立を生じやすいケース
相続人間で、感情的な対立が決定的なものとなりやすい顕著な場合としては
①相続人間にもともと精神的なつながりが皆無か希薄な場合
②遺産内容や相続人のおかれた状況からみても、もともと遺産を公平に分けることが難しい場合
の2つがあげられます。
●相続人間にもともと精神的つながりがうすいケース
①の場合には、関係が疎遠であるため、ささいなことで感情的な対立を生じる素地がもともとある場合であり、特に関係を修復させる必要もないので修復への努力を怠り、結果として感情的な対立を決定的なものとしてしまうものです。この場合、勘定面でもシビアな考えを持ち、他の相続人に対してなかなか妥協しないので争いが長期・泥沼化することになります。その例として、
(a) 異母(異父)兄弟間で遺産を分ける場合
(b) 後妻と先妻の子が相続人となる場合
(c) 相続人に結婚外で生まれた子、すなわち非嫡出子がいて、嫡出子の半分しか相続権が無い場合
(d) 相続人に養子がいる場合
(e) 相続人にいわゆる代襲相続人がいる場合
などがあげられます。
(a)から(c)の場合は元来相続人間において争いになり、感情的に対立が激しいこともあるでしょう。また、(d)の場合は、相続税対策や家業を承継する趣旨が強い養子の場合には当初よりもめる要素を含んでいることもあります。(e)の場合には、代襲相続人はドライな判断が目立つことも多いと思われます。
●遺産内容や相続人のおかれた状況から、もともと公平に分配することが難しいケース
②の場合の例としては、
(a) 遺産の種類や量が多い場合
(b) 遺産が唯一の不動産など客観的にみて分割不可能なものしかない場合
(c) 相続人間でもともとの経済力の差が大きい場合
などがあげられます。
つまり、(a)の場合には、相続人に「他にも遺産があるのでは」という疑念を生じ、他の相続人が隠してるのでは、と考えるおそれがあり、(b)の場合には、この不動産をどう評価し、どのように分配するかで意見の相違をきたし、(c)の場合には、経済力の劣る相続人はできる限り多くの遺産をもらおうと躍起になるなど、最初から客観的にみてトラブルの火種を含んでいる場合があるといえるのです。
なお、よく見聞きする例えとして長男が親の遺産を一人占めして実際他の兄弟姉妹には遺産を渡さないか、ごく一部しか分割しようとしないことがよくあります。
●トラブル解決への指針
遺産分割をめぐるこうしたトラブルを避けるためには、まず各相続人の家族の口出しをできる限り排除することです。現実に相続人間で感情的対立が決定的となるのは、相続人の配偶者が相続人に色々と吹き込むからであることが多いようです。
また、実際にトラブルが起こってしまった場合には、相続人同士の話合いだけで解決するのは実際上むずかしいでしょうから、利害関係のない第三者に客観的な立場から判断をしてもらい、解決を委ねることが得策であることが多いと思われます。具体的には、弁護士に遺産分割協議に加わってもらい、公平な分配案を示してもらうことが考えられます。それでも納得のいかない場合には家庭裁判所の手続きを利用して、このような公平な第三者機関をもって問題を解決するしかないと考えられます。