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遺産分割協議で取得した遺産に瑕疵があった場合について
~Question~
私の父の遺産は、価格3000万円の土地だけでした。相続人は、長男である私、次男、三男の3人で、私が土地を取得し、弟達には1000万円ずつを支払うということで遺産分割協議が成立しました。
ところが、その土地の1/5は、実は他人Aの土地であることが後になって判明しました。他人Aからは裁判を起こされ、私が敗訴して返還したため、私は結局その土地を4/5しか取得できないことになりました。この場合、私は弟達に対してすでに支払った代償金を減額し、損失分を取り戻すことができるでしょうか?
~Answer~
遺産分割協議によって相続人が得た相続財産に何らかの瑕疵があった場合、共同相続人にこの瑕疵についての責任(担保責任)を問うことができるのかが問題です。
瑕疵とは、たとえば遺産分割協議によって相続人が取得した遺産が
① 実は他人の物であった場合
② 数量不足や一部滅失などで、当初考えていた分量や価値を満たしていない場合
③ 地役権などの用益物権や担保物権による制約があった場合
④ 遺産である債権の債務者が無資力で、債権の回収が困難であった場合
などのように、遺産分割協議の時点では隠されていた不都合ないし不利益を指します。そのような遺産を相続してしまった相続人は、どのような救済を得ることができるのでしょうか。具体的な救済方法については、以下でご説明していきましょう。
●救済の方法
上記のご質問の場合、相続財産である土地には3000万円の価値があると信じて相続人間で分割協議を行い、その結果長男であるあなたが土地の全部を、次男と三男には価格弁償として、各1000万円の支払いをすることで遺産分割協議は終了しました。ところが、相続財産の一部(1/5)は他人の権利であることが後になって判明し、その一部を剥奪されたとなれば、長男は2400万円(=3000万円×4/5)分しか取得できないことになり、しかもすでに2人の弟達に1000万円ずつの支払を完了しているため、結局400万円しか取得できなかったことになります。これを、長男の不運とあきらめるしかないのか、またはその損失分を次男と三男に対して請求することができるのかが焦点となります。
民法911条の規定によると、あなたは自己の権利をあきらめる必要はなく、救済を受けることができます。次男と三男に対し、失われた土地の一部(1/5)に相当する金600万円分につき、平等にその責任を負担してもらうことができるのです。つまり、金600万円の損失は、相続人の3人で仲良く分担することとなり、次男と三男からそれぞれ200万円ずつ返却してもらえればよいでしょう。そうすれば、長男、次男、三男はいずれも、800万円相当の相続をしたことになるのです。