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株式の遺産分割(譲渡制限株式の相続)
~Question~
先日亡くなった父が所有していた、譲渡制限株式を兄弟との遺産分割協議によって取得しました。会社に対して、相続による株式取得を当然に主張することができますか。
~Answer~
●株式の相続の法的性質
被相続人が所有していた株式は、相続が開始すると相続人の準共有となります。預貯金については金銭債権ですので、判例は相続の開始と同時に当然に各相続人に法定相続分に応じて分割されるとしています。しかし、株式は金銭債権ではないので、そのような扱いにはなりません。
したがって、会社に対して各相続人は単独では自己の法定相続分に応じた数の株式の取得を主張できず、株主名簿の名義書換を請求するには、相続人全員で遺産分割協議をする必要があります。
●名義変更
遺産分割により被相続人が所有していた株式を相続した者は、その氏名・住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ株主であることを株式会社に対抗できません。したがって株主として議決権を行使したり利益配当を受けることができません。
●株式会社からの売渡の請求(譲渡制限株式の相続)
改正前の商法では、株式の譲渡制限を定めて会社にとって好ましくない者が新たな株主となることを防ごうとしても、相続など一般承継による取得の場合はその目的を達成できない場合がありました。
しかし、平成18年5月に施行された会社法では、相続など一般承継による株式取得の場合でも、会社にとって好ましくない者が新たな株主となることを防ぐために、株式会社は相続などで当該株式を取得した者に対し、株式を会社に売渡すことを請求することができる旨を定款で定めることができるようになりました。ただし、売渡請求できるのは譲渡制限株式に限ります。
このような定款に定めがある株式会社が売渡請求をするには、売渡請求する株式の数、株式を有する者の氏名などを、その都度株主総会の決議で定めたうえ、また、相続を知った日から1年以内に請求する必要があります。会社から請求があった場合、株式の売買価格はあなたと株式会社との協議により定めますが、請求があった日から20日以内に、あなたや株式会社は裁判所に売買価格の決定の申立てをし、裁判所に決めてもらうことができます。