相続ブログ|相続・遺言手続トータルサポート大阪

相続・遺言トータルサポート大阪TOP > 相続ブログ > 相続人の廃除

相続ブログ

相続人の廃除

~Question~

私は2店舗の食堂を経営していますが、高齢なのでいつ死ぬか分かりません。昔から店の手伝いをよくしてくれた長男に相続させたいと考えております。しかし次男が「店舗の一つを俺にくれ!俺が後を継ぐ!」と言ってきます。次男は普段から素行が悪く、働かずに店の金をたびたび持ち出しては仲間と遊びにでるような生活を繰り返しています。絶対次男には相続させたくありません。何か良い方法はないですか?

 

~Answer~

 

●相続人の廃除

被相続人が相続人の内の特定の者について財産を残したくないと考える場合、自分の財産をすべて他の相続人に譲るという遺言を残すことが考えられます。しかし、お訪ねの場合のように相続人が被相続人の子供である場合は遺留分を有しておりますので、仮に長男に全財産を相続させるとした場合でも、次男の方がある程度財産を相続することは避けられないことになります。また、ご長男にあなたの全財産を生前贈与することも考えます。しかし、この方法をとった場合多額の贈与税を支払う事になりかねません。さらに贈与後1年以内にあなたが亡くなった場合には、やはり遺留分の問題が残ります。

そこでお尋ねの場合に、あなたが財産を次男に一切財産を譲らないという考えを貫かれるのであれば、遺留分が発生しないようにしなければならず、そのためには次男に対して「相続人の廃除」の手続きをとる必要があります。「相続人の廃除」とは、相続人の内兄弟姉妹(及びその子)を除く者、つまり遺留分を有する相続人が欠格事由とまではいかないものの被相続人を虐待し、重大な侮辱を加え、その他著しい非行行為を行った場合に、被相続人の請求により家庭裁判所がその相続人の相続権を奪う制度です。このような場合、被相続人の感情からして一切財産を残したくないと思う事は自然であり、また、このような相続人を保護する必要はありませんので遺留分をも認めない事としたものです。反面、相続権を剥奪される者にとっては大変重大な問題ですので、相続人の行為が廃除事由に当たるかどうかは、客観的に見てその程度が著しいものでなければならず、その有無は家庭裁判所が申立人及び相手方の双方の主張を公平に聞いて判断することになります。

 

●相続人廃除の手続き

ある相続人に廃除原因に該当する事実が存在しても、ただそれだけでは廃除の効果は生じません。前にも述べたとおり、被相続人が廃除原因があると考えて家庭裁判所に相続人の廃除を求める調停又は審判を申し立てて、家庭裁判所で調停が成立するか廃除を求める審判が確定して初めて効力が生じます。また、被相続人が遺言で相続人廃除の意思表示をすることもでき、この場合は被相続人の死亡後に遺言執行者が家庭裁判所に廃除の請求をすることになります。お尋ねの場合、あなたが家庭裁判所に相続人廃除の申し立てをして、次男の普段からの素行の悪さの程度及びその具体的な状況、勝手に持ち出した金額・使途等を家庭裁判所が慎重に判断し、著しい非行に該当すると認められれば、次男は相続権を一切奪われることになります。なお、廃除の審判が確定した場合、請求した者は確定の日から10日以内にその旨を役所に届けなければなりません。

 

●相続人廃除の効果

相続人廃除の審判があると、廃除された相続人は被相続人の相続人たる地位を失います。この効果は、審判確定が相続開始前であればただちに生じて、遺言による場合は被相続人の死亡時にさかのぼって生じます。つまり、あなたの奥さんが亡くなった場合の相続に関しては、次男はあなたの奥さんから廃除されていなければ相続人となれますし、また、相続以外の扶養・親権・後見といった身分上の関係について何らの影響もありません。なお、被相続人はいつでもまた遺言で廃除の取消を家庭裁判所に対して請求できます。したがって、次男の素行が改まるなどの事情によりあなたの気持ちが穏やかに和らいだ時に廃除の取り消しを請求すればよいでしょう。

無料相談受付中!【受付時間】平日・土・日9:00~18:00お電話からのお問い合わせは0120-13-7838無料相談予約はここをクリック