相続ブログ｜相続・遺言手続トータルサポート大阪

～Ｑuestion～

亡き父のめぼしい遺産は長男である私たち家族が住んでいる居住不動産だけです。この不動産を分割することはできません。兄弟に金銭を払って解決することは出来るでしょうか。また、分割払いも出来るのでしょうか。

～Answer～

●分割方法

遺産を具体的に分割する方法には、現物分割、代償分割、換価分割の方法があります。「現物分割」は、遺産をあるがままの姿で分割する方法で、遺産分割の原則的な方法です。しかし、現物分割が相続人の数や遺産の個数・種類・価格などの関係で著しく困難である場合とか、現物分割により細分化したのでは遺産の価値が著しく失われる場合、１人または数人の共同相続人にその相続分を超える遺産を現物で取得させ、代わりに相続分に満たない遺産しか取得しない相続人に対する債務を負担させる分割方法が「代償分割」と言われるものです。この代償分割は債務負担の方法による分割とも言われています。もう一つの「換価分割」と言うのは、遺産を金銭に換価し、その価値を分割する方法です。

●代償分割

ご質問の場合、代償分割の方法により、従来から居住している不動産をあなたが取得し、兄弟には各相続分に応じた金銭を支払うことが適切と思われます。

裁判例によりますと、この代償分割による方法として次の要件を挙げています。

①遺産が細分化を不適当とすること。

②共同相続人間に代償金支払いの方法によることの争いがないこと。

③遺産の評価がおおむね共同相続人の間で一致していること。

④遺産を取得する相続人に債務の支払能力があること。

●代償金の支払の確保

代償金の支払は、後日に債務不履行や解除などのトラブルを残さないため、できるだけ一括払いにすることが望ましいと思われます。もし、代償金が多額なため一括払いが困難な場合、分割払いにすることもできますが、この場合は、代償金の支払を受ける他の相続人の不安定な地位を考慮して、あなたが分割で取得する不動産に担保を設定することができます。分割払いの場合の利息については民事法定利率の年５分とすることが多いようです。また、話合によっては連帯保証人などの人的担保をつけることもできるでしょう。