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法定相続分と異なる遺産の分割は有効?
~Question~
先日父が亡くなりました、私は父の生前から両親と同居し、細々と家業を営んできました。嫁いだ妹は何不自由ない裕福な生活を送っています。遺産分割の話し合いをして、年老いた母と私が2分の1ずつ自宅の所有権を取得し、妹は形見分け程度のものを取得することとなりました。このような法定相続分と明らかに異なる遺産分割は有効でしょうか。
~Answer~
このような遺産分割も有効です。
1. 民法は、遺産分割の一般的な基準として「遺産の分割は、遺産に属するもの又は権利の種類または性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他の一切の事情を考慮してこれをする」と定めています。これは、共同相続人間の遺産分割が単に機械的に形式的に平等に行われるだけでなく、遺産の種類や各相続人が置かれている具体的状況など一切の事情に配慮し、具体的な公平性をもったものでなくてはならないことを意味します。
2. 具体的にいいますと遺産には様々なものがありますが、分割にあたり、まずそれが不動産か動産か無体財産権か、不動産の場合は、宅地か農地か山林か店舗か居住用建物か、権利の内容が所有権か賃借権か、また動産の場合は、営業用の動産か現金、有価証券かなど、その他遺産に属するものや権利の種類、どれくらいの価値や価格をもつものかなど、その内容や性質を考慮する必要があります。
また、相続人については年齢、職業、心身の状態や生活状況、被相続人との同居の有無などその他一切の事情を総合的に考慮して決めなければなりません。相続人の中に生活に困窮している者や、配偶者がいる場合には、その生活の保障が実現されることは考慮すべき重要な要素となります。
3. このように遺産分割は遺産や相続人の具体的状況を考慮して行われますので、誰がどのような遺産を取得するかは各相続人が自由に決めて良いことになります。したがって、遺産分割の話し合いの結果、各相続人の取得分がたとえ法定相続分と異なっていたとしても、そこに公序良俗違反や権利濫用、要素の錯誤、詐欺や強迫などの一般的な無効や取り消し原因がない限り、そのような遺産分割も有効になります。