相続・遺言トータルサポート大阪TOP > 相続ブログ > 侵害された遺留分を取り戻すことはできるの?
相続ブログ
侵害された遺留分を取り戻すことはできるの?
~Question~
父はすでに亡く、2人兄弟なのですが、実家の母が全財産を同居している兄にやるという旨の遺言をして亡くなりました。この場合、兄の手にわたった財産を一部だけでも取り戻す方法はあるのでしょうか?
~Answer~
●遺留分減殺請求権
民法は遺言の自由の制約とし、兄弟姉妹以外の相続人のために遺留分制度を設けています。すなわち、ご質問の場合、実家のお母さんの財産の1/4については、遺留分として減殺請求をすることができます。
●遺留分減殺請求権の行使
遺留分減殺請求権の行使の方法ですが、必ずしも訴えによることなく、裁判外で、書面でも口頭でもかまいません。ともかく、お兄さんを相手に、遺留分減殺請求権を行使する旨の意思表示をすればいいのです。ただ、後にそのような意思表示があったかどうか争いになってはいけませんので、配達証明付き内容証明郵便によるのが良いでしょう。
それと、この権利は遺留分権利者が相続の開始及び減殺すべき贈与または遺贈があったことを知ったときから1年、または相続開始の時から10年これを行わないときには時効消滅するとされています。いったん裁判外ででも行使しておけば、その結果生ずる請求権の裁判上の行使は、この短期消滅時効にかからないとされております。
ただ、遺留分減殺請求権を裁判外で行使しただけで話がつくのは稀でしょうから、家庭裁判所に調停・審判を申し立てるか。地方裁判所に遺留分減殺請求訴訟を提起することになるでしょう。
●遺留分と寄与分
お兄さんのほうも、生前にお母さんの面倒をみた、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持または増加につき特別の寄与をしたとして、家庭裁判所に寄与分の調停・審判を求めてくることが考えられます。しかし、遺留分を侵害するほどの寄与分が認められることはまずないので、その点は心配する必要はないでしょう。