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寄与分がある場合の相続人の取得する遺産の計算方法について
~Question~
父が商店を経営していましたが、10年前頃から老齢のためあまり働かなくなり最近亡くなりました。私は学校を卒業後、父の商店の手伝いをして10年前頃から事実上は私が経営しております。父の相続人は母と姉と私です。私の寄与分や取得できる遺産の割合はどのように計算されますか?
~Answer~
●寄与者の取得分を定める手段について
相続人に寄与分が認められる場合、その相続人の取得する遺産は、寄与分とこれを控除した後に残る財産の、法定または被相続人の指定相続分の割合によるものです(ただし被相続人等によって相続分が指定される場合には、寄与が考慮されることがあり、このことは寄与分算定に影響するとかんがえられます)。そしてこの寄与分については、まず全相続人の協議で定め、協議調わない場合には、家庭裁判所の調停で話し合い、寄与者の請求がある場合には、家庭裁判所が寄与の時期、方法および程度、相続財産の額、その他一切の事情を考慮し審判で決めます。ただし、この審判の前には、資産分割の審判の手続きがなされていることが必要です。
●寄与分の具体的な定め方について
あなたは学校を卒業後、お父さんの経営する商店を手伝い、10年前頃からはお父さんが老齢のため、あまり働かなくなったために事実上経営者となったようですが、そのお父さんの遺産のうち、どの程度のものが寄与分となるかは難しい問題です。
寄与分については、その立法前から審判例、学説で認められていましたが、寄与分額や割合につき確固たる基準が定められてはいません。しかし、およそは以下のように決められています。
① あなたが学校を卒業後、正当な給与等を受け取って商店の手伝いをしていたのであれば、その給与等を受
け取っていた期間については寄与分は請求できません。しかし父の手伝いという事で、より少ない、小遣
いなどをもらっていたにすぎないような場合で、そのために遺産が増加した場合であれば、主に正当な報
酬との差額が基準となり寄与分が計算されます。
② あなたが事実上、商店の経営者となったあとについては、正当な報酬等の授受があったのか否か、実際に
受領した報酬額などとの差額がいくらかなどによっても計算しえますが、商店の資産の増加額の何分の何
、というような計算方法も可能です。その割合は主に商店の経営にどの程度貢献等をしたかが基準となっ
て計算されます。
そして、この寄与分の全体についても、一定の金額を定める方法と、全遺産の何分の何と定める方法があり、審判例もそのように両方が存在します。これらの方法により寄与分が算出されますと、これをまず父の遺産から控除して、残るものを法定または指定相続分の割合で計算し、あなたはこの控除した寄与分とあなた自身の法定または指定相続分との合計したものを取得することができます。