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多重債務者の相続と生命保険金について【2】
【1】の続き・・・
●相続放棄と限定承認 (後編)
相続の放棄や限定承認をする場合は、「自己のために相続の開始があったことを知ったとき」から3ヵ月以内に家庭裁判所に申述しなければならないと(前編)でご説明しました。しかし、これらができなくなる場合があるので、注意が必要です。
たとえば、相続人が相続財産の全部または一部を処分した場合や、自己のために費消してしまったり、または隠すなどした場合には、相続を承認したものとみなされ、相続の放棄をすることができなくなってしまします。
今回のご質問の場合は、ご主人に多額の借金があったというお話でしたが、不動産や預金などプラスの財産が残されており、それらを換価(原則として、プラスの財産は競売に付さなければならないことになっています)して負債の返済に充ててもなお余剰が出る可能性があるのであれば、限定承認の方法をとることをおすすめします。余剰分については、お手元に残すことができるからです。
明らかにマイナスの財産の方が多いと判断される場合は、相続放棄の方法をとられるとよいでしょう。
●生命保険金と相続財産
生命保険の死亡保険金は、被保険者が死亡した際に、生命保険契約に基づいて支払われるものです。
生命保険契約において、特定の相続人を受取人として指定した場合、保険金請求権は保険契約の効力として、受取人の固有財産に属します。したがって相続財産にはなりません。受取人の氏名を特定せず、単に「相続人」と指定した場合であっても、被保険者が死亡した時点におけるその相続人たるべき者個人を受取人に指定したものとされます。このとき特段の事情がない限り、その相続人たるべき者の固有財産となるため相続財産にはなりません。
このように、生命保険金は相続財産にはならず、受取人の固有財産になるため、生命保険金を受領しても相続放棄や限定承認をすることができます。また、相続放棄をすれば、その保険金を返済に充てなければならないということもありません。
したがってご質問の場合、あなたは生命保険金を受領する一方で、相続放棄か限定承認をするなどし、借金の返済を免れることができるでしょう。