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夫の死亡退職金は、相続財産になるの?【後編】
会社等により支給される死亡退職金
会社は、就業規則等において、死亡退職金の支給基準、受給権者の範囲および順位を定めていますが、その内容は様々です。実務上は、死亡退職金に関する支給規程があり、受給権者について明確な定めがあれば、死亡退職金は相続財産にはならず、受給権者の固有の権利として扱われます。
また、支給規程において受給権者に関する明確な定めがない場合(たとえば「遺族」「配偶者」などと規程されている場合)には、死亡退職金の受給権は相続財産とはならず、亡き夫の収入で生計維持をしていた内縁の妻の固有の権利とされます。
なお、支給規程を設けていない会社の場合は、従来の支給慣行や支給の経緯なども勘案し、支給規程がある場合と同視できるならば相続財産ではないとしています。その他の場合は、相続財産となります。
●死亡退職金は特別受益にあたるのか?
死亡退職金は受給権者の固有の権利とされますが、死亡退職金以外に相続財産がないのであれば、特別受益が問題となります。死亡退職金を賃金の後払いとしてみれば、特別受益として認められ持戻しの対象になりますが、遺族の生活保障とみるならば、特別受益にはあたりません。特別受益性を認めるか否かに関しては、相続人間の実質的公平の面と、遺族の生活保障の面の両方を考慮し、具体的事情にしたがって適正かつ妥当な判断を下すことになります。たとえば他に財産が存在しない場合でも、相続人の生活状況などを勘案したうえで、特別受益にはならないと判断する場合もあります。