相続・遺言トータルサポート大阪TOP > 相続ブログ > 夫の死亡退職金は、相続財産になるの?【前編】
相続ブログ
夫の死亡退職金は、相続財産になるの?【前編】
~Question~
地方公務員だった夫が、癌で亡くなりました。子供がひとりいるのですが、夫の死亡退職金は私と子供の2人で分けることになるのでしょうか?現在住んでいる土地と建物以外、他に財産はありません。
もしも、退職金以外に財産がない場合はどうなるでしょうか?
また、内縁の妻であっても取得することができますか?
~Answer~
地方公務員の夫が亡くなった場合、死亡退職金の第一受給権者は配偶者であると条例が定めており、民法とは異なる順位を定めています。したがって、受給権は相続財産とはならず、妻固有の権利となるため、妻が全額を受給することができます。条例に、内縁の妻も含むという規定が存在するならば、内縁の妻であっても固有の財産として死亡退職金の全額を取得することができます。
しかし、もし死亡退職金以外に相続財産がないのであれば、特別受益の問題が生じます。
●死亡退職金は相続財産となるの?
死亡退職金の性質を、賃金の後払いととらえるならば相続財産となりますが、遺族の生活保障ととらえるならば相続財産ではないこととなります。実務上は、法律や条例、就業規則等があり、他に死亡退職金の支給基準や受給権者の順位や範囲に関する規程があれば相続財産にはならないとしています。就業規程等がない場合には、従来の支給慣行や経緯等を勘案し、相続財産かどうかを個別に判断していくことになります。
公務員の死亡退職金
地方公務員の場合、条例により、遺族の生活保障を目的として死亡退職金の受給権者を定めています。その内容は、国家公務員等退職手当法によります。しかし受給権者の順位および範囲に関しては、配偶者(内縁を含む)、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹と民法で定められる相続人の順位および範囲とは異なっています。したがって死亡退職金は、受給権者固有の権利となり、相続財産ではありません。ですから、妻が全額の死亡退職金を取得することができます。また条例に、妻には内縁の妻も含むという規定があれば、内縁の妻も死亡退職金受給権を固有の権利として取得することができます。
【後編】に続く