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受取人を妻と指定した生命保険金は、相続の対象となるの?【前編】
~Question~
私のためにと夫は生命保険契約を締結しました。契約者・被保険者ともに夫で、受取人は私になっています。私たちには子供が2人います。夫は、他に財産は持っていません。夫が死亡した場合に、保険金の全額を私が取得することは可能でしょうか?
~Answer~
夫が、自分の死後に妻(特定の者)の生活が困ることのないようにと、自身を被保険者として妻(特定の者)を保険金受取人として生命保険契約を締結し、その保険料を支払っていたとします。この場合、夫が死亡すれば、その契約に基づき妻に死亡保険金が支払われることとなります。受取人と契約者が異なる契約に基づく死亡保険金請求権は、受取人として指定を受けた者の固有の権利とされるため、夫の相続財産の対象とはなりません。したがって、当該死亡保険金は妻の固有財産となり、妻が全額受け取ることができます。
しかし、夫が他に遺産を持っておらず、かつ死亡保険金が高額であり、他の共同相続人との関係で著しい不公平さが生じるなどの特段の事情が認められるような場合には、死亡保険金が特別受益として持戻の対象となる可能性もあります。このような場合には、持戻額が問題となります。
● 死亡保険金請求権は、相続財産に含まれない
死亡保険金は、被保険者が死亡したとき、生前に締結した生命保険契約の内容に基づいて支払われることとなります。夫が妻のために、自身を被保険者とし、保険金受取人として妻(特定の者)を指定している場合には夫の死亡によって、受取人に指定されていた妻は固有の権利として、当然に死亡保険金請求権を取得することができます。当該請求権を行使することにより、死亡保険金は全額妻に支払われることとなります。それは、他人ために生命保険契約を締結したことから生じる効果であるため、死亡保険金請求権は相続財産には含まれません。
【後編】に続く