相続・遺言トータルサポート大阪TOP > 相続ブログ > 老人性認知症で被相続人となりうる者の浪費に対する対処法【後編】
相続ブログ
老人性認知症で被相続人となりうる者の浪費に対する対処法【後編】
判断力低下の程度が問題となる
お父さんの判断力がどの程度低下しているかによって対処法が異なってくるのは、【前編】【中編】で述べた成年後見制度の説明でお分かりいただけたことでしょう。ご質問の場合、お父さんの判断力の程度に応じて後見または保佐、補助の審判の開始を申立ててお父さんを保護し、大切な老後の資産の散逸を防がれるのがよいと思われます。
しかしながら、お父さんについて、後見、保佐、補助いずれの審判がなされるかは、いかなる申立てをしたかに関わりなく、家庭裁判所の判断によることとなります。後見開始の審判をする場合は、明らかにその必要がないと認められるときを除いては、お父さんの精神状態について、医師(その他適当な者)に鑑定をさせ、さらにお父さん本人の陳述を聴取したうえで、その結果を踏まえて審判がなされなければなりません。
保佐開始の審判をする場合も、同様の手続を踏むこととなります。
補助開始の審判をする場合には、本人の意見を聴くことは同じですが、必ずしも鑑定を必要とはしません。本人の精神の状態に関する医師の診断、もしくはその他適当な者の意見を聴取すればよいとされています。
また、前述の審判の申立てがあった際に、審判開始までに日数を要し、その間に財産散逸のおそれがある場合には、後見(保佐・補助)開始の審判を申立てると同時に仮処分の申立てを行い、審判が開始する前の財産の散逸を防ぐといった方法もあります(家事審判法15条の3)。