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非嫡出子の相続権は?について

~Question~

夫には10年ほど前から愛人がおり、2人の間に女の子がいます。1ヶ月前に夫が交通事故で亡くなりました。戸籍謄本を見たところ、その子は認知されていました。私には12歳と10歳の男の子がいますが、愛人の子にも相続権があるのですか。

 

~Answer~

非嫡出子の相続分

婚姻外で生まれた子は非嫡出子とされ、法律上の父子関係は父の認知があってはじめて生じます。認知されていれば、当然相続人となりますが、相続分については民法は嫡出子の相続分の1/2としています(民法九〇〇条四号ただし書)。

同じ親の子でありながら、親の婚姻という子にはかかわりのない事実によって差別があるのは子の立場からすれば不条理なことといえます。このような差別的取り扱いが合理的根拠に基づくものとは言い難いとして、この規定を憲法一四条に一項に違反するものであるとした下級審の判決が続いた(東京高決平成5年6月23日、東京高判平成6年11月30日)後、平成7年7月5日、最高裁判所大法廷の決定は、裁判官10名の多数意見により非嫡出子の相続分を嫡出子の1/2とする民法の規定は、憲法一四条一項に違反しないと判断しました。その理由は、この規定の立法理由が、法律婚の尊重と非嫡出子の保護の調整を図ったものであって、憲法一四条一項が想定している合理的理由のない差別に当たらないというものです。その後も、最高裁判所はこの判例を踏襲して、非嫡出子の相続分差別の規定については、一貫して合憲としています(最判平成12年1月27日、最判平成15年3月31日、最決平成21年9月30日等)。

しかし、これらの判断においても、その都度、強い反対意見や補足意見を表明する立場の裁判官が少なからずいます。本規定が制定された当時に比べて、社会事情や国民の婚姻観、家族観が、さらには国際的動向が著しく変化している現代において、自己の意思によらずに出生によって決定された嫡出でない子という地位ないし身分による差別は、個人の尊重を重んじ、社会的身分による差別を禁じた憲法に違反している、あるいは、違反している疑いが極めて濃いというものです。

平成8年2月に法制審議会は、「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分と同等とする」旨の民法の一部を改正する法律要綱を法務大臣に答申しました。また、世界の多くの国において法律上嫡出子と非嫡出子の相続分の同等化が図られていることもあり、国際連合の人権委員会は、日本政府が提出した同等化する法改正を検討しているとの報告に対して、平成10年11月、あらためて、すべての児童は平等の保護を与えられるという立場を再確認して、わが国が民法九〇〇条四号を含む法律の改正のために必要な措置をとるよう勧告しています。このような法改正の動きはあっても、現在のところでは、非嫡出子の相続分について民法九〇〇条四号ただし書によるほかはありません。

さて、ご質問では遺言はないようですので、相続分は妻であるあなたが1/2、子の相続分が1/2となります。子は嫡出子が2人、非嫡出子が1人なので、嫡出子それぞれが子の相続分の2/5、すなわち全体の2/10、非嫡出子は子の相続分の1/5、すなわち全体の1/10を相続することになります。

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