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被相続人が身元保証人になっていたら?について
~Question~
先日、亡くなった父が友人の息子さんの勤務先に対して、身元保証人になっていました。私達は身元保証人の責任を引き継がなければならないのでしょうか?
~Answer~
相続によって身元保証人としての地位は引き継ぎません。しかし、被相続人が亡くなる前に、すでに損害が発生している場合は、相続の対象とされる場合がありますので、注意が必要です。
身元保証契約とは・・・身元保証契約とは、身元保証人が使用者(会社などの雇い主)に対し、身元本人の行為によって生じた損害を賠償することを約束する保証契約です。身元保証人がどのような責任を負うのかは、それぞれの当事者の契約で異なります。
しかし、身元保証債務は、身元保証人が好意から、しかも無償で引き受ける場合がほとんどです。その上、身元保証債務は、一般の保証債務と比べて保証期間が長く、将来どこまで保証すべき債務の範囲が広がるか分かりません。これらのことから身元保証人の責任が過酷にならないように、身元保証法によって契約期間を原則3年、最長5年とすることとされています。
身元保証債務は相続されるのか・・・身元保証人としての地位(身元保証人債務といいます)は、一身専属的な義務(その個人だけに属するもの)なので、特別の事情がない限り相続の対象にはなりません。これは、身元保証契約が身元本人と身元保証人との個人的な信頼関係に基づくものなので、この信頼関係も身元保証人の死亡により消滅する、という考え方に基づくものなのです。
また、「特別の事情」というのは、相続人自身が身元保証人となる意思を有していたことが明らかであるなど、相続人に身元保証債務を負わせても不合理でない事情のある場合に限られますが、このようなケースはほとんど考えられないと思われます。
ただし、被相続人の生存中に身元本人が使用者に損害を与え、それが契約の期間内(3年または5年)であって、被相続人が具体的にその損害賠償責任を負わなければならない場合には、この債務は一般の借金などの債務と同様に、相続の対象となり、相続人が引き継がなければなりません。