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遺産分割協議が調わない場合不動産賃貸料収入はどうするか
~Question~
不動産賃貸業を営んでいた父が平成18年4月1日に死亡しました。父の相続人は遺産分割協議を行いましたが、協議が長引き、平成19年5月15日になってようやく調いました。
この場合、平成18年4月1日から遺産分割協議が調うまでの間の所得は、誰の所得として申告すればよいのでしょうか。また、遺産分割協議が調った場合、その不動産を取得した者の所得として、相続発生時まで遡及して所得税の修正申告、または更正の請求等の手続きが必要となるのでしょうか。
~Answer~
所得税法においては、遺産分割協議が調った日の属する年分からその相続人の所得として申告する必要があります。なお、遺産が未分割であった年分の所得については、法定相続分で共同相続人の所得として申告することとなります。
民法において、被相続人の遺産でまだ相続人間において分割協議が調っていない財産については、各共同相続人の共有に属するものとされていることから、その未分割遺産から生ずる所得についても、各共同相続人にその相続分に応じて帰属するものと考えられています。したがって、所得税等の申告においても、未分割財産から生じる所得を法定相続分で按分した金額が各相続人の所得となります。たとえ、特定の相続人が財産を一括して管理していたとしても、遺産分割協議により相続人が確定していない限り、特定の者の所得として申告することはできません。
ただし、その後、遺産分割協議が調い、特定の相続人が相続することが確定するに至った場合は、その分割により財産帰属が確定したその相続人の所得として申告することになります。
なお、民法においては、遺産分割の効力は、相続の開始があった日までさかのぼることとなっていますが、所得税等の取り扱いについては、過去の申告の訂正をすることなく、その分割があった日の属する年分からその相続分に応じて申告することとなっています。
【例】
平成18年4月1日に発生した相続について、平成20年5月15日になって遺産の分割協議が調った場合、被相続人が所有していた賃貸マンションから生じる不動産所得はどのように申告すればよいのでしょうか?
平成18年4月1日から平成18年12月31日までの所得及び平成19年分の所得については、遺産分割協議が調っていないことから、この賃貸マンションを相続するものが決まっていないため、その所得は相続人が法定相続分に応じて申告することになります。
平成20年分の所得に関しては、5月15日までの所得を共同相続人が法定相続分に応じて申告することが基本ですが、だれが相続するのかについて遺産分割協議が確定していることから、平成20年分の全部の所得をその者の所得として申告することは可能と思われます。しかし、遺産分割協議により相続するものが確定したからと言って、平成18年分、平成19年分の所得税について、修正申告や更正の請求をすることはできないこととされています。