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寄与《遺産分割(2)》について

[Question]

先日、寝たきりだった私の父が死亡しました。母は早く亡くなっており私は長男として、家業を父と共に頑張り、大きく発展させることができました。

また、私の妻は、父が倒れてからは、その介護に誠心誠意尽くしてきました。2人の弟は、家業を嫌って出て行ったくせに、遺産は法定相続分どおり3人で均等に分けようと言いますが納得がいきません。

[Answer]

寄与分制度・・・法定相続分に従えば、相続人が兄弟3人だけの場合ですから、3人は均等の相続分ということになります(民法900条4号)。しかし、家業への貢献など何ら評価されないのは不公平なことと言わざるを得ません。そこで、昭和55年に寄与分制度が創設されて、調節が図られています。(民法904条の2)。

寄与分制度は、共同相続人中に被相続人の事業に関する労務の提供また財産上の給付、被相続人の療養看護その方法により被相続人の財産の維持または増加ににつき特別の寄与をした者には、寄与分としての相続財産をまず与え、その余りを分割して、寄与した相続人の具体的相続分を多くするというものです。

あなたの場合は、家業を手伝い、これを発展させたということですから、寄与分を有しているということができます。

寄与分を定める手続き・・・寄与分を定める方法としては、①当事者である共同相続人間の協議、②調停、③審判の三つの方法があります。

寄与分の決定は遺産分割の前提問題ですから、寄与分を定める協議は相続の開始後であれば遺産分割手続が終了するまではいつでもできます。実際には、遺産分割の協議の中で寄与分を検討するのが通常ですが、遺産分割には合意できないが、寄与分については合意できたときには、とりあえず寄与分について協議書を作成しておくとよいでしょう。
寄与分の定め方としてはa , 遺産のうちに占める寄与分の割合をもって定める方法、b , 寄与分に相当する価格をもって定める方法、c , 遺産のうちの特定物をもって寄与分と定める方法の三つが考えられます。

寄与分についての協議ができないときは、寄与分を主張する相続人は、他の共同相続人全員を相手方として家庭裁判所に調停を申し立てることができます。

実際上は、遺産分割の調停のなかで寄与分の主張がなされ、それを踏まえて調停が進められるため、寄与分についての調停の申立てはあまりありません。調停で寄与分についての協議が調わないときは、家庭裁判所が寄与相続人の請求によって寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して寄与分を定める審判をすることになります。

なお、寄与分は遺産分割の前提問題であり、寄与分を定める審判と遺産分割の審判は一括して処理する必要性が高いため、寄与分を定める審判の申立てをするには遺産分割の審判の申立てがあることを要するとされています。

被相続人の寄与・・・ところで、あなたの奥さんがあなたのお父さんの介護に貢献した点、どのように評価されるでしょうか。寄与分を受けることができるのは、共同相続人に限られていますが、現実の被相続人の寄与の行為が相続人の行為と同視しうるような場合は、その相続人が自己の寄与に含めて主張することが許されます。

要は相続人の補助としてなされたものかどうかで判断することになりますが、あなたの奥さんの場合は、これにあたる典型的な例ということができるでしょう。

療養看護の審判例・・・審判例では、相続人とその夫、娘が、重い老人性痴呆症にかかった被相続人(相続人の母)の介護のため交代で不寝番をしたという事案について、相続人は職業付添婦ではないことや被相続人の療養看護の傍ら、家族のための一般家事労働をなす余裕もあったことを考慮して、療養看護により被相続人が支払いを免れた付添看護婦費用の額の6割を寄与分として認めたものがあります。(盛岡家裁昭和61年4月11日審判)。

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