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今回は、生前の相続放棄についてのお話です。
先日、事務所に来られたお客様から「生前の遺産分割は可能ですか?」というご質問を受けました。
そのお客様のお兄様は高齢のご両親の近くに住んでおられるそうで、長年遠方に住んでおられるお客様は、「両親の身の回りの世話をしているのは自分だから、お前は相続を放棄してくれないか?」とお兄様に言われたそうです。
家族の療養看護に努めた者が、そうでない者よりも財産を多く取得するというのはよくある事例ですが、“生前の放棄”は果たして認められるのでしょうか?問題は、ご両親が生きている間に遺産分割の話し合いをして遺産分割協議書を残しておけば、その書面が有効になるのか?ということです。
答えはNoです。
仮に生前に、話し合いのうえ「相続放棄します」という趣旨の書面を作成し、その後実際に相続が開始したとしても、その書面では放棄の効果が生じないのです。放棄の約束をした当事者間でならその効力を認めてもよいのではないか?という意見も多々あるようですが、生前の相続放棄は制度的に認められていません。したがって、生前に相続放棄の約束をしたとしても後日、「気が変わった」などと言って相続人としての権利を主張することも法的には可能ということになります。
結論として、生前に推定相続人全員で協議を行い、遺産分割に関する合意書を作成したとしても、それは無意味なものとなってしまうので注意しておかなければなりません。相続人としての地位は、あくまで相続によって初めて生じるものであるということを、覚えておいてくださいね。