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遺産分割協議がまとまらなかったときはどうするの・・・
~Question~
父の死亡後、父の遺産のうち誰が何をもらうかについて、母と兄弟で何度も集まり話し合いをしましたが、お互いに主張を譲らず、なかなか話がまとまりません。このように相続人の間で遺産分割協議がまとまらない場合、問題を解決するにはどのような方法がありますか。なお、父に遺言はありません。
~Answer~
●家庭裁判所の利用
今回のご質問の場合、遺言書はなかったということですから、原則として法定相続分に従って遺産を分ければよいのですが、誰が何をもらうのか、遺産の中の特定財産の評価額などをめぐってもめごと等が起こっていると考えられます。
この場合、まずは弁護士に相談して法的な立場から助言をもらい、あるいは専門家に依頼して評価額を鑑定してもらうなどして遺産分割協議を続け、その中で解決を目指すことが考えられます。
それでもどうしても協議がまとまらない場合には、公平な第三者機関である裁判所の力を借りて問題の解決をはかるとよいでしょう。具体的には、家庭裁判所に対する遺産分割調停の申立てと同じく、家庭裁判所に対する遺産分割審判の申立ての2通りがあります。法律の建前上は、遺産分割の場合には調停の申立てと審判の申立てといずれを先に行ってもよいことになっています。しかし、実務上は先に調停手続を進め、調停が成立しなかった場合にはじめて審判手続きに移行することとされていますので、今回のご質問の場合もまずは調停の申立てをするべきであると考えられます。
●遺産分割調停
調停において、各相続人から事情を聞いたり、あるいは場合によっては妥当な解決案を各相続人に示すなどして紛争解決へ向けて家庭裁判所が関与はするものの、最終的には相続人全員の話合いによる合意が解決内容となります。この意味で遺産分割調停はいわば裁判所の監督下で遺産分割協議を行っているといえるかもしれません。
ただし、単に私人間で協議した場合と異なり、成立した合意が調停調書に記載されると確定判決と同一の効力を有し、その内容が法律による強制力を持つので、より確実に遺産を分割できます。
●遺産分割審判
審判の場合は、調停と異なり当事者の合意ではなく家庭裁判所の判断が紛争解決内容となり、その判断は強制力を持ちます。この点は通常の裁判手続きと同じです。
しかし、通常の裁判手続のように、すでに成立している法律関係の存否を判断するわけではなく、裁判所が介入してこれから新たな法律関係を当事者間に創設していく場合ですので、通常の裁判手続きとは違う性質が見られます。
具体的には、建前としては事実の認定に必要な資料の収集を裁判所が行う面があること、手続きを非公開で行うこと、当事者の在廷が強く要求されることなどがあげられます。
ただし、遺産分割の審判の現実の姿をみると、当事者が主張や証拠を提出し、家事調査官が事実関係を調査し、遺産の評価については鑑定が行われることが多くあります。そして、これらの事実関係を前提として審判官が法的判断を下すこととなります。このように審判は時間と費用を多く要することがあります。