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相続ブログ
農地の遺産分割について
~Question~
父が亡くなりました。長男の私はこれまで父と農業をしてきましたので、これからも跡を継いで農業をするつもりでいます。しかし、年老いた母もいます。またサラリーマンの弟は農地を私1人が取得することについて反対しています。農地の分割はどのようにすればよいでしょうか?また、農地を分割する事について農業委員会の許可は必要なのでしょうか?
~Answer~
ご質問のように農業を引き継いで行う者が、遺産である農地を単独で取得した場合、遺産が農地のみで、しかもあなたに債務負担の支払能力がない場合や、また現実に農業収入で生活する必要のあるお母さんの扶養の問題がからんだ場合には、遺産分割は困難になるでしょう。
●農地の細分化防止について
基本的には農地については、あなたのように農業経営の承継者に取得させるべきで、弟さんのように農業をしない者に農地を細分化して取得させることについては、できるだけ避けた方がよいと思われます。なぜなら、農地を細分化してしまうと、農業の経営が不可能となる場合が多く、農地の細分化の防止は農業経営の安定のために必要なことだからです。
●農地の分割について
しかし、農地以外にめぼしい遺産がなく、あなたに債務の負担能力もない場合には、農地の分割もやむ得ないことになってしまいます。また、お母さんのようにすでに老齢に達して、自分で耕作することができなくても、親族等の補助者の力を得て耕作して生活を維持することはできるわけですから、被相続人の配偶者の扶養の問題も分割に当たり十分に考慮する必要があります。このような場合については、被相続人の配偶者に田畑の一部を分割すべきとした審判例があります。
●農業委員会の許可について
原則として、農地の移転については農地法によって農業委員会の許可を受けなければならないことになっています。しかし、遺産分割による農地の取得については例外的に許可を要しないとされています。ただ、遺産分割の調停において、相続放棄した者が利害間関係人として参加し、相続人から農地の贈与を受けたような場合は問題で、この場合は許可を必要とする最高裁の判例があります。