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遺産分割協議は、相続税の申告期限までに終了する必要があるの?【後編】
遺産分割協議は、相続税の申告期限までに終了する必要があるの?【前編】の続き・・・
●相続税の申告期限
相続税の納付義務者は、相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に相続税の申告書を提出しなければなりません。
相続税の申告書を提出することは、各自が現実に取得すべき遺産の範囲が定まっていることが前提となるため、相続人間での遺産分割協議が完了していなければなりません。したがって、申告業務を担当する税理士が、遺産分割協議書を提出するよう要請してきたのも必然のことといえるでしょう。
●遺産分割未了の場合
しかし実際には、相続税の申告期限までに遺産分割協議が調わないこともあります。この場合、相続税の申告はどうすればよいでしょうか?
この点に関しては、相続税法では次のようにして申告すべきあると規定されています。
各相続人または包括受遺者が、法定相続分または包括遺贈の割合にしたがって、未分割遺産を共有取得したものとして各自の相続税の課税価格を出し、そこから【前編】で述べた計算手順を踏んで各自の相続税額を算出することとしています。
したがって、遺産分割未了の場合であっても、このようにして相続税額が出てきた人は相続税の申告書を提出しなければなりません。
その後、遺産分割協議が成立した場合には、現実に取得した相続税の課税価格にしたがって計算をし直すことになります。申告額に不足が生じた場合には修正申告を行い、反対に過大であった場合には更正の請求をすることができます。
●配偶者の税額軽減の特例、小規模宅地等の課税価格の特例を受ける場合
①配偶者の税額軽減の特例と②小規模宅地等の課税価格の特例は、双方とも相続税額を大幅に軽減する措置です。これらの特例の適用を受けるためには、相続税の申告書の提出期限までに、①配偶者が遺産分割や特定遺贈によって当該遺産を取得したこと、②当該小規模宅地が分割されていることが必要となります。
では、申告期限までに遺産分割ができていなかった場合はどうなるのでしょうか?
遺産分割が未了の場合であっても、申告期限までに前述した計算方法によって申告書を提出し、それに応じた相続税を納めなければなりません。その後、その申告期限から3年以内に遺産分割がなされた場合には、これらの特例の適用も受けることができるとされています。さらに、遺産分割調停が継続しているなどのやむを得ない事情がある場合には、上記の3年の期間が経過する前に所轄の税務署長の承認を受けることにより、調停成立などの翌日から4ヶ月以内であれば、同様に特例の適用を受けることが可能となります。