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特別方式の遺言ってどんなもの?
病院や船中などの緊急を要する事態でする遺言
死期が迫った者がする遺言
特別方式の遺言には、死期が迫った者が遺言をしたいが、普通方式では間に合わない、といったときなどに利用することができます。この場面としては4つあります。
① 病気等で死亡の危急に迫った者
② 伝染病で隔離されている者
③ 船舶中にある者
④ 船舶遭難の場合に、船中で死亡の危急に迫った者
① 死亡の危急に迫った者ができる遺言
病気やケガなどの理由で死亡の危急に迫った者が遺言をしようとする場合、死亡危急者の遺言という特別方式で遺言をすることが可能です。この方式は(a)証人3人以上の立会いで、(b)そのうちの1人に遺言の趣旨を口頭で伝え(口授)、(c)口授を受けた者がこれを筆記し、(d)これを遺言者と他の証人に読み聞かせ、もしくは閲覧させ、(e)各証人がその筆記が正確なことを承認した後に、これに署名押印し、(f)遺言の日から20日以内に、証人の1人もしくは利害関係人から家庭裁判所に請求をして、その確認を得るというものです。
ただ、家庭裁判所は「遺言が遺言者の真意により出たものであるとの心証」を得なければ確認することはできませんから、証人などの関係者は、裁判所側が確認しやすいように注意するべきです。例えば、筆記の他にビデオテープなどに録画するとか、証人の人選に気を配るなど、の配慮が必要です。
② 伝染病隔離者などがする遺言
これは伝染病で隔離されている者が行うことのできる遺言です。
伝染病で隔離されている者は、死期が迫っているとは限りませんが、自由に行動することができません。自筆証書遺言が作成できれば問題ないのですが、それもできないとなると、公正証書遺言もできないでしょう。そのような方のために、伝染病隔離者の遺言が存在するのです。
伝染病隔離者とは、伝染病を患っているために行政処分によって交通を断たれた場所にある者のことです。この場合には、警察官1人と証人1人以上の立会いよって遺言書を作成することが可能です。
なお、この方法による遺言は、伝染病以外の、刑務所にいる者や地震・洪水などで交通が断たれた者の場合にも利用することができます。
③ 在船者、船舶遭難時の遺言の作成
在船者や船舶遭難時の遺言とは船舶中にいる者がする遺言です。この場合、船長もしくは事務員1人と証人2人以上の立会いで遺言書を作ることが可能です。
この方式も、伝染病隔離者と同様の趣旨で認められているものです。
④ 遭難した船舶の中で死亡の危急に迫った者がする遺言
このような場合には証人2人以上の立会いで、口頭で遺言をすることが可能です。証人が遺言の趣旨を筆記し、これに署名押印します。その上で証人の1人もしくは利害関係人が、遅滞なく家庭裁判所に請求し確認を得ることになります。