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故人名義の借地や借家は明け渡さなければならないの?

~Question~

父は地主より土地を賃借しておりました。父が亡くなった後、地主から私たち相続人に対し、借地人が亡くなったのだから土地を明け渡してくれと請求が来ました。この場合、私たち相続人はどうすればよいでしょうか?

 

~Answer~

 

●借地権や借家権の相続

土地を賃借した場合の借地権や建物賃貸借契約に基づく借家権は、使用借権とは違い、被相続人の一身専属権ではありません。つまり、被相続人の死亡により賃貸借契約は終了せず、借地権や借家権は財産権として当然に相続の対象となります。そして相続人が複数いる場合、遺産分割が成立するまでは共同相続人が法定相続分に応じて借地権や、借家権を準共有することになります。これらのことは土地や建物の使用目的が何であるかを問わず、居住目的でも営業目的でも同じです。

したがって、おたずねの場合も土地契約者であるお父さんが亡くなったからといって、地主があなた方相続人に土地の明け渡しを請求する権利はありません。遺産分割が成立するまでは、相続人全員に相続分に応じてそれぞれ借地を利用する権利がありますし、遺産分割成立後は、借地権を取得した相続人が単独で全部を利用出来ます。

なお、遺産分割が成立して借地権の相続取得者が決まった段階で地主が名義変更料や更新料の支払いを要求するとともに、支払わなければ土地を明け渡せなどといってくることがよくあります。しかし、このような場合の名義変更料については法律上は何の根拠もありませんし、更新料についても相続によって従前の賃貸借契約が期間満了となるわけではありませんので、支払う必要はありません。

 

●賃料の支払い

もっとも借地権や借家権が相続の対象になるからといって、地代もしくは家賃を支払わないでいると債務不履行として地主や家主から賃貸借契約を解除されてしまい、土地や建物を明け渡さなければならなくなるのは当然です。

それでは、賃料の支払いは誰がどのような割合で行えばよいでしょうか。

まず、被相続人が生前賃料の支払いを怠っている場合は、延滞賃料を法定相続分で分割した債務を各相続人が負担することになります。ただし、相続人の誰かが支払わないと債務不履行として賃貸借契約を解除されてしまう危険性がありますので、この場合ほかの相続人は、事実上法定相続分を超えて債務の支払いをする必要があります。

相続の開始後、遺産分割協議が成立するまでは、共同相続人の性質上の不可分債務として各自が賃料全額を支払う義務があり、各相続人の支払いを合計して賃料額となれば債務は消滅することになります。なお、地主や家主としてはこの賃料支払いの催告は共同相続人全員に対して行わなければならないし、解除の意思表示も共同相続人全員に対して行わなければ効力を生じませんので、注意が必要です。

最後に遺産分割協議が成立し、借地権や借家権を相続取得する者が決まった場合には、その相続人が賃料全額を支払わなければならないのは当然です。

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