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営業権の遺産分割について

~Question~

長年の間、事業をやってきた父が亡くなりました。遺産分割の話合いで長兄が父のやっていた事業を引き継ぐことになりました。遺産分割に際し父の営業権、また「のれん」についてはどのように考えればよいのでしょうか?

 

~Answer~

 

●営業権

営業権というのは、「その企業の長年にわたる伝統や社会的信用、立地条件、特殊の製造技術及び特殊の取引関係の存在並びにそれらの独占性などを統合した、他の企業を上回る企業収益を獲得することができる無形の財産的価値を有する事実関係」であるといわれています。

例えば、まったく同規模の営業設備をもったA商店とB商店があるケースで、技術や信用、取引関係その他で圧倒的にすぐれているA商店がB商店より非常に高い収益をあげている場合、A商店についてこの営業権が認められることになります。この営業権は、お父さんが個人商店で営業していた場合にも、会社組織で運営していた場合にも同じように問題となります。

この営業権と同じことを意味するものとして「のれん」があります。「のれん」については、「得意先関係、仕入先関係、営業上の秘訣、名声、経営組織など、長年営業している店舗の使用によって得る営業上の無形的利益であり、これがあると、営業財産はその各構成要素の単なる集合よりも高い独自の財産的価値をおびる」と一般的に説明されています。

 

●事業の承継

今回のご質問の場合、お父さんが行ってきた事業を長兄が承継するに当たっては、お父さんが営業していた店舗その他の営業設備を相続することになります。もし会社組織で営業をしていた場合は、お父さんが所有していた株式や持分を相続することになります。その場合、お父さんが行っていた事業の収益が著しく、超過収益があると認められるかどうか、つまり営業権あるいは「のれん」の価値があるのかが当然問題となってきます。

 

●営業権の評価

営業権あるいは「のれん」とは、企業の超過収益をあげる能力とされていますので、過去において、相当期間継続して現実にそのような超過収益をあげていたものでなければなりません。そのため、この営業権あるいは「のれん」が認められるには、何年くらいの期間が必要なのかが問題です。

また、そのような超過収益をあげることができた原因も問題となります。もし、それが営業主であるお父さんの個人的能力、あるいは顧客や取引先などから受けていた個人的な信頼感に原因があったとすると、それは営業主の死亡によって、消滅し、もはや相続財産としてひょうかすることはできなくなります。

ご質問の場合、遺産分割にあたり、このお父さんの営業権ないし「のれん」の評価をめぐっては、事業を承継する長兄は低く評価し、他の相続人は高く評価して対立することが多いと思われます。

このような営業権の評価をめぐり、分割の話合いがどうしてもできない場合は、営業権の価値について専門家の鑑定を求めたうえ、最終的には裁判所で判断してもらうしかありません。

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