相続ブログ|相続・遺言手続トータルサポート大阪

相続・遺言トータルサポート大阪TOP > 相続ブログ > 偽造の離婚届が出されていた場合の相続権について

相続ブログ

偽造の離婚届が出されていた場合の相続権について

~Question~

 私は数年前から夫と別居しています。夫は別の女性と同棲を続けていましたが、先日亡くなりました。子供たちは私の好きにしていいと言ってくれたので、土地と建物の相続登記をしようと考えました。しかし戸籍謄本をとってみると、私の知らないうちに離婚したことになっており、私の名前は夫の戸籍から削除されていたのです。このような場合、私の相続権はどうなるのでしょうか?

 

~Answer~

 

●離婚無効の訴え

離婚意思の合致がない場合の離婚届は無効です。したがって、偽造された離婚届は当然に無効です。

離婚の記載のある戸籍を訂正するには、家庭裁判所に対して離婚無効の審判や調停の申立てを行い、無効であることを認めてもらうのが一般的です。しかし相手方がすでに死亡している場合には、調停によらずに、検察官を相手に離婚無効の訴えを起こすことができます。

その結果、離婚の無効が認められ、はじめて戸籍の訂正ができることとなります。

 

●離婚無効が確定する前の扱い

遺産分割の協議を行う際には、遺産として何があるのかという範囲の問題と、相続人が誰であるのかという相続人確定の問題があります。

通常は、相続人となる者の範囲を確定するときは戸籍の記載から判断することになるため、遺産分割協議を行う場合や家庭裁判所で調停をする場合に、相続人が確定できなければ手続が進まなくなってしまいます。

しかし離婚届が偽造されたものであれば、夫の死亡により相続が開始したときに、妻として取得できる相続分の主張ができるのは当然のことです。

もっとも、銀行預金の名義変更や払戻しの手続をする場合や、不動産の所有権移転登記手続を受ける場合には、戸籍の記載が訂正されないと相続人であることが確認できないため、手続を進めることができないと考えられます。

また、離婚の無効が裁判で確認される前に、離婚無効を主張する前妻を含めた相続人の間で遺産分割協議をする方法もあります。このような協議は、離婚の無効が裁判で否定されない限り有効です。

離婚無効を前提として、妻として家庭裁判所に対し、遺産分割の審判の申立てをすることも可能です。

この場合、その手続の中で離婚が無効であると判断し、妻を相続人と認めて遺産分割の調停を成立させたり、審判を下すことができます。しかし、後日裁判で離婚の無効が認められなかった場合は、その限度で効力を失うこととなります。

夫婦関係が不仲になり、別居状態が長期間継続している本件のような場合には、一方が死亡すれば相続関係が複雑化し、解決に長期間を要するおそれがあります。したがって、別居期間中に離婚届を偽造されることのないよう「不受理願い」を出しておくとよいでしょう。

無料相談受付中!【受付時間】平日・土・日9:00~18:00お電話からのお問い合わせは0120-13-7838無料相談予約はここをクリック