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遺産分割協議どおりの履行がなされない場合の救済について

~Question~

私の父は一昨年に亡くなりました。相続人5人の間できちんと遺産分割協議を行い、協議書に調印をしたのにかかわらず、ひとりで遺産を管理している長兄は、いっこうに協議で決まったとおりの履行をしてくれません。

遺産分割協議では、私はマンションを相続することになってるので早く入居したいし、さらに預金も一部もらえることになっています。遺産分割協議の内容を実行させるには、どのようにしたらよいでしょうか?

 

~Answer~

 

●遺産分割協議の効力

遺産分割協議は、共同相続人全員の出席と同意を要し、「協議書」を作成して各自が署名押印をするのが一般的です。もし、この協議書が話合いで調わない場合には、家庭裁判所へ調停の申立てを行います。調停がまとまると、「遺産分割協議書」は調停調書という形で成立することになります。調停でも調わなかった場合には、同じ家庭裁判所の審判に移行し、審判官の「審判書」をもって遺産分割協議は完了します。このようにして、私文書たる「遺産分割協議書」、公文書たる「調停調書」もしくは「審判書」は、その効力に関してはすべて同一であるのが原則です。共同相続人は、この協議書もしくは調書や審判書に基づいて、その内容の実現を図ることができるのです。

分割によって不動産の単独所有者となった者は、この「分割協議書」を添付して、単独で相続登記をすることができます。したがって、長兄がひとりで遺産の管理を行い、協議書どおりの履行をしてくれない今回のケースでは、登記所に協議書を持参して相続による移転登記を実行してしまえばよいでしょう。ただし登記所では、私文書による分割協議書については、その協議書に署名押印した共同相続人全員の印鑑証明書を添付しなければならないので、注意をしなければなりません。なお、調停調書や審判書のような公文書の場合には、印鑑証明書の添付は不要です。

 

●遺産分割協議書の効力

有価証券や預金などの名義書換についても、遺産分割協議書中できちんと定めておきましょう。そのような遺産分割協議書であれば、その写しを銀行や証券会社に直接持参することで履行してもらうことができるからです。銀行実務においては、預金の払戻方法は銀行によって若干異なり、統一した基準がないようです。調停調書や審判書といった公文書がある場合には、その写しを持参し、相続人が本人であることを立証すれば、たいてい払戻しに応じてもらえます。なお、相続人が本人であることを立証するには、パスポートや運転免許証を提示するとよいでしょう。分割協議書が私文書である場合は、印鑑証明書を添付し、相続人間で紛議が生じていないことを銀行が確認した後でなければ預金等の名義書換は少々困難になるでしょう。したがって、当事者間で遺産分割協議書が作成できたとしても、その履行を求める調停を家庭裁判所に対し申し立てることも十分に考えられます。いずれの場合にしても、被相続人や共同相続人の戸籍謄本の添付が必要になるので、きちんと準備をしておきましょう。

 

●不動産の引渡し

相続人が、不動産を相続したケースを考えましょう。上記のご質問者様のように、ご自身が相続したマンションに早く入りたいのに、他の相続人(長兄)が使用を継続し、なかなか明渡しに応じてくれない場合はどうしたらよいでしょうか。この場合、まずは移転登記を済ませ、所有権に基づく明渡請求訴訟を起こす以外に方法はないかもしれません。長兄は他人の不動産を不法に占拠していることになるので、相続開始後明渡しまでの期間については賃料相当の損害賠償金も請求することができるでしょう。

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