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偽装結婚の配偶者は相続人になるの?

~Question~

私の会社は、社宅に入居するには「結婚していなければならない」という規則があるので、社宅に応募する資格を得るために、知り合いの女性に頼んで事情を説明し、すぐに離婚届を出すという約束で、婚姻届を出しました。その結果、社宅に入居できたので、離婚届けを出してもらおうとしたのですが、その女性は約束を守らずに離婚届を出すことに応じてくれません。私は、最近医者に余命宣告をされました。もし死亡した場合、その女性は私の妻として相続人となるのでしょうか?

 

~Answer~

●婚姻は有効か

婚姻が成立するためには、当然に双方の間に互いに相手と婚姻するという合意がなければなりません。今回のご相談の場合では、まずあなたと相手方の女性の間に、婚姻をする意思の合致があったかが問題となります。

「婚姻をする意思」とは、①単に婚姻の届出を出す意思で足りるとする考え方と、②実質的に社会観念上夫婦であると認められる関係をつくるとの意思を必要とする考え方の対立があります。今回のご相談の場合、婚姻届を出す意思はありますが、夫婦になろうという意思はありません。したがって、①の考え方では婚姻意思はありますが、②の考え方では婚姻の意思はないという結論になります。通説や判例は、実質的に夫婦となる意思が必要であるという②の考え方をとっていますので、今回のご相談の場合では、届出はなされていますが、無効な婚姻と考えられます。

 

●無効な婚姻と相続

今回のご相談のように、届出があっても婚姻が無効な場合には、その女性は妻ではないので相続人ではなく、相続権もありません。また無効であるとの効果については、婚姻が無効であると裁判所の判決が下されないと生じないものではありません。当然にそのような婚姻は無効であり、また誰もが、無効であることをいつでも主張できます。したがって、その女性が妻であると相続権を主張しても無効であることは他の人は当然、主張できますし、仮に、遺産分割について裁判等が起きたとしても、先に婚姻が無効であるという判決を得ておくことは必要ではなく、その相続をめぐる裁判の前提問題として婚姻が無効か有効か、裁判所は判断を下すことができます。

また、家庭裁判所における遺産分割の調停や審判の中で、婚姻が無効であるとの主張がなされることもあります。前途のように相続権の有無を前提問題として判断することは認められています。しかし、実務では重要な事柄であるので、家庭裁判所では調停や審判を当事者に取り下げさせ、通常の裁判所の判決により、相続人か否かの結論が出た後に、当事者に再度調停等を申し立てさせるというやり方をしています。

 

以上のとおり、婚姻は無効であり、妻ではないので、あなたがもし亡くなっても相続人にはなりません。

しかし、届出を出した以上、戸籍上は夫婦であるので、その他様々な問題が生じるおそれがあります。したがって話合いによる解決がつかないのであれば、早急に裁判等を申し立てるなどし、戸籍の記載を抹消するようおすすめします。

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